How to be a female president of a university?

先日の日米シンポジウムという企画は基本的にクローズドで行われたので、あまり外向けの発信はしにくいのですが、それにしてもゴージャスなメンバーが集まっての会だったので、7月8日のブログに加えて、もう少しレポートしておこうと思います。
とくに「リーダーシップを発揮するにはどうしたらよいのか?」あたりのことについて。



私が軸足を置いている科学技術の分野は、女性の参画が少ないことが知られています。
例えばOECDのデータ(2007年)において、雇用者全体での女性比率は40%程度で、こひちらはさほど諸外国と変わらない(最も高いのはフィンランドで50%近く)のですが、女性研究者となると、米国で34%、英国でも26%なのですが、日本は13%で、お隣の韓国(13.1%)に抜かれてしまいました。
つまり、マイノリティーなんですね。

でも、さまざまな問題が鬱積している日本を変えるための一つの方策としては、「科学技術立国」と謳っている日本において、人材の多様性を考慮することが重要なのではないかと考えられます。
それは、外国人の参画も必要だと思いますし、科学・技術の世界から少し遠い分野の方々が多数参入することが大切だと思います。
私の中の位置付けとしては、女性科学者・技術者というのも、そのような人材の多様性をもたらすための一つの可能性、方向性だと思っています。

この問題については、すでにいろいろと発現もしてきましたが、今、言えることは「広がりと〈とんがり〉」ということです。
「広がり」とは、日本では、例えば四年生の大学進学時点において、理系の女子学生が1/4程度である(欧米ではほぼ50/50)というところに端を発し、大学院生やポスドク(博士大学院生)を経てスタッフ(助教以上)に達する女性が、例えば東北大学においても10%程度(助教を除くと6.5%)という現状があり、おそらく、もっと多数の女性が参画してもいいはずなのだと思われる訳です。
国立大学に進学した方ならとくに、国のお金で育てている訳ですから、そのような方が十分に活躍していないという状況は、大きな無駄をしていることになりますね。

「とんがり」とは、意志決定に深く関わる、よりトップレベルの職位に付く女性が必要であるということなのですが、こちらも、日本では上場企業の役員のうち女性が1.23%しかいないことにも象徴されるように、アカデミアだけの問題ではないのですが、非常にシリアスです。

そんな訳で、先日の日米シンポジウムという企画は、元お茶の水大学学長、元総合科学技術会議議員の郷通子先生や、日本女子大学名誉教授の小舘香椎子先生、九州大学理事・副学長の水田祥代先生、日本女性教育会館理事の久保真希氏のオーガナイズにより、女性科学者のエンパワーメントのために行われました。

パネルディスカッションにおいて、郷先生から「どうしたら女性が学長になれますか?」という問いを発せられて、ハワイ大学のマーシー・グリーンウッド先生が、まずお答えになりました。
学長になる前に、学部長等を経験していることはもちろんだけど、学長になるにはプラスαが必要。
問題を確実に見出すための質問力や、他の人たちを導くメンター力など


唯一の男性参加者であった、元慶應大学塾長の安西先生は、ご自分は慶應大学の歴史の中で、2番目の理系塾長であり、マイノリティーであった、ということをお話ししつつ、次のようなことを述べられました。
日本を良くするには、より多くの女性学長が必要。そのためには、より多くの女性教授が必要。そのためには、より多くの女性研究者が必要。
反対意見の人の話に耳を傾ける能力が重要


基調講演をされたIBMフェローの浅川千恵子さんは次のようなコメントを残されました。
日本の女性はもっとaggressiveでactiveになる必要がある。
一歩引いて考えるというのは、これからの女性リーダーには相応しくない。


水田先生はユーモア溢れるコメント(感服します)ながら、次のようなことを。
私は日本の中でもコンサバな九州で育ったが、小児外科医になった頃には「女性が外科なんてありえない」と言われた。
なので「I am born congenitally as a woman.」と切り返した。
短い言葉で的確に発言することが重要。


水田先生の英語は、決して流暢なのではないのですが、中身に重みやユーモアがあることが大切ということを改めて実感しました。
「Congenitally woman」というのは、生まれつき、先天的に〈女性である〉ということは、自分ではどうしようもないことであって、それをネガティブに指摘することは間違っていますよ、という意味だと思いますが、そういうことをクドクドと言うのではなくて、「生まれたときから女なんですが、それが何か?」と、端的に言うことに力があるのだと思いました。

その後、ブレイクアウト・セッションにおいても、「リーダーの資質は?」というテーマで話をしましたが、次のようなことを掲げておきましょう。
・他のメンバーをインスパイアする
・ヴィジョンを持つ/アイディアを理路整然と話す
・チャーミングでカリスマ性を持つ


これに対して私は「リーダーはメンバーのことを思いやる気持ちが大切なのでは」と発言したのですが、すると「それって〈日本的〉だと思う」と言われました。
やはり、どのくらい個人主義的かというのが、文化によって違うのだと、改めて知りました。

いずれにせよ、例えばアカデミアであれば、学会のセッション座長、シンポジウムのオーガナイザーなどを経験することは、リーダーとしてのスキルを磨くために必要であるという点においては一致し、「日米双方でそういう機会を持てたらいいですね」というような、具体的な方向性まで持って行くことができたのは何よりでした。
by osumi1128 | 2010-07-10 17:03 | 雑感

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