アガらないコツ

明日東京で用事があるのだが、お茶のお稽古の先生のお誕生会があって今日から上京。
今年(確か)91歳になられるのだが、まだまだしっかりお稽古の先生を務められる。
簡単なお点前で、こちらがよくわかっている所作のときに、ちょっとコックリコックリされるのだが、さあ、次の動作が分からなくて困ったぞ・・・というときにムクっと起きられ、「次は○△よ」と指示されるのは、お茶の先生歴50年以上ならではの技かも。
さすがに数年前から足腰が弱くなられ、外にお連れするのはバリアフリーの場所でないと不安になったが、召し上がる方はまだまだなかなかの健啖ぶり。
「お茶の先生は長生きの方が多い」とよく言われ、「お抹茶は健康に良い」と信じられているが、たぶん、その時代に幼児期の感染症などを免れた方々は、そもそも体が丈夫なのであろうし、今でもお弟子さんと接するという刺激がよいのだろう。
(ちなみに、ラットでは若いラットと一緒に飼育すると長生きしたという報告がある・・・という話を聞いた気がする)

お稽古をご一緒する仲間のうち、自称「アガリ症」という方がいる。
彼女はお茶会では必ず裏方を望まれ、決してお点前をするということはしない。
一方、別の方は生まれつきの「ヒロイン」タイプで、目立つことが好きだし、本番に強い。

アガるというのは、体が次のアクションに備えて緊張度を高めており、アドレナリンが分泌され、心拍数が上がったり、発汗するなどの身体症状を伴う。
一番最初に自覚したのは、小学校時代のピアノの発表会だったと思うが、次が自分の番、というときにドキドキした。
さすがに今では場数を踏んでいるので、プレゼンそれ自体でアガるということはほとんどないが、大きなプレッシャーのかかるような場合、しかも初めてのことには緊張する。
たいていは、演壇に上がる頃には落ち着いているのだが。

「緊張するなあ」と思っていた頃は、「今、自分はとても緊張しているぞ」と自覚するようにして、「でもこれはとても自然な体の反応だ。アドレナリンの分泌は10分も続かない」と思うことで落ち着くようにしていたが、世の中にはいろいろな「アガらないためのコツ」があるようだ。

先日聞いた話では、ある著名なH先生のテクニックは、「次演者席に着いたら、小鼻を膨らませたり縮ませたりするとよい」というもの。
H先生が小鼻を膨らませたり縮ませたりしている姿を想像すると、とてもユーモラス(失礼!)。
たぶん、この方法の本質は呼吸を整えることによるのであろう。

今日読んだPresidentという雑誌の記事によると、「手帳などに、予め、当たり前の事実、をメモしておく(例えば、電車の駅名、秋葉原―神田―東京など)。緊張したときに、そのメモを開き、小声で唱えると、何度も唱えている間に、不思議とそれを書いたときの平静な脳に戻す事ができる」という。
(この方法を言ったのは阿部聡という脳神経外科専門医、臨床心理士・・・こういう組み合わせの専門を持つ方は珍しいですね・・・)

この方法も結局は「珍しくない言葉を繰り返し口に出す」ことで、自然と呼吸を整えているように思う。
たぶん、よく知った歌の歌詞でも、聖書の言葉でも(信者なら)、南無阿弥陀仏でも(信者ではなくても)、寿下無ジュゲム・・・でも(覚えているなら)、同じことだろう。

巷でよく言われる「聴衆はカボチャだと思え」というのはお勧めしない。
むしろ、良いプレゼンテーションのためには、聴衆とeye contactを取ることが必須だから。


追伸:
阿部聡という名前でgoogleしたら、下記が最初にヒットしてきた。
ヤブイシャドットコム
http://www.yabuisha.com/home/index.html
実在の人物であるらしい。
by osumi1128 | 2005-07-03 20:39

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