Media Lab@MITに石井先生を訪ねて

昨晩の雨で気温がぐっと下がって過ごしやすくなったようです。
日本に帰ってきたとたんに各種予定やら締切やらの現実が一気に押し寄せてきた感あり。
ボストンでも仕事していたのにオカシイですね……(苦笑)。
昨日からサイエンス・イラストレーション・サマー・スクール2010 in 仙台が開催されていますが、こちらのレポートは追ってするとして、速報はこちらのTwitterまとめをどうぞ。
本日はマサチューセッツ工科大学(MIT)のMedia Lab訪問記です。
Media Lab@MITに石井先生を訪ねて_d0028322_7373758.jpg

(画像、たくさん撮ったので、また追ってアップする予定です)
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ボストン最終日に石井裕先生を訪ねてマサチューセッツ工科大学(MIT)のMedia Lab新館を訪ねました。
タンジブルなメディアで有名な石井先生は、以前にプロフェッショナルで拝見していたのですが、DoCoMoのキャンペーンでTwitter上が賑わっているときに相互フォローするようになりました。
また、先日の日立技術フォーラムの折に、パネル討論で参加されていて、噂の機関銃プレゼン(笑)に感服いたしました。
その際にお目に掛かってはいたのですが、今回初めてゆっくりお話しする機会に恵まれた次第です。

石井先生のHPはこちら
あるいはこちらのAXIS講演の動画などを

宿泊先からはHarvard SquareからKendall/MITまで地下鉄で2駅。
Media LabはMITキャンパスの東の端だったので、歩いて数分……のはずだったのですが、Googleマップさんは微妙に違っていて……。
教えて頂いたキャンパスマップは正確でしたが……(苦笑)。
でも、もし迷ったら、ということを考慮して時間がたっぷりありましたので、少し早めに着いたMedia Lab新館をうろうろ見学。
設計は槇文彦氏のところ(Maki and Associates)で、ガラスが多用された白い箱というモダンな雰囲気ですが、とにかく空間がゆったりと贅沢に使われているのが素敵(←閉所恐怖症気味)。
中が吹き抜けになっていて、居室の壁もガラスが多いのは「アウェアネス」を大事にしているからとのこと。
個人で仕事をしていながらも、あたりの気配として人がいることを感じることによって、疎外感が生まれないように考えられているのでしょう。

さて、石井先生はミーティング・テーブルで秘書さんと打合せ中だったのですが、まずはIshii Labでどのようにディスカッションが為されるかのレクチャーを受けました。
パワーポイントを映すスクリーンはホワイトボードになっているので、投影された画像にディスカッションしながら字や絵を加えていき、その画像をデジカメでキャプチャして、さらに反映していく。
欧米で伝統的にディスカッションに使われてきた「模造紙をとじ合わせたもの」(これ、何と言うのでしょうね?)に字や絵を描いて、それもキャプチャ。
「議論の間に誰かが食べていたオレンジの皮をキャプチャしたりすることもあります。そうすると、そのときの匂いなどもタグとして加わるでしょう。」とは石井先生。
なるほどと思いました。
楽しいだけでなく、タグはいろいろ付いていた方が記憶としても引き出しやすくなりますし。
アナログ的な思考法を、さらにディジタルなテクノロジーを活かしているのが素晴らしいですね。

その後、さらに、タンジブルなメディアのいくつかを見せて頂きました。
例えば、ガラスのボトルの蓋を開けると音楽が流れてくる仕組みとか、ブラシ型のキャプチャ装置で画像(静止画だけでなく動画としても)を取り込み、それを用いてモニタに絵を描いていくものとか……。
文字だけで説明するのは難しいですね……。
こういうメディアは、アート・パフォーマンスとして使っても面白いでしょうね。

私が興味を持ったのは、3本の木のローラーが末端ディバイスとなっている装置(inTouch)です。
2つのローラーがコンピュータを介して繋がれており、一人の人がそのローラーを手で動かすと、その強さ、速さなどがリアルタイムでもう一つのローラーに伝わり、それを触っている相手に感じ取られる、というもの。
すでにSkypeなどでは動画のリアルタイム配信によって相手と繋がる訳ですが、このような「触覚」の繋がりというのは興味深い。
離れて暮らしている家族や恋人との間のコミュニケーションとしても面白いし、手の触覚を介して脳を活性化することによって、認知症の予防などにも応用できるかもしれないと思いました。
「手は出力系でもあり入力系でもある」とは石井先生。
有名な脳のホムンクルスでも、手は比較的大きな部分を占めています。
身体をさすったりすることによって活性化しようという考え方は、キネステティクスの理論でもありますね。

*****
石井先生のラボで奥様とお嬢様二人と合流し、ディナーをご一緒しました。
奥様の菅谷明子さんは、『メディア・リテラシー―世界の現場から 』『未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告―』という岩波新書を上梓されていらっしゃいます。
人を取り巻く環境がどのように作用するかについては私もとても興味があるテーマなので、さっそくAmazonで御著書を注文しました。
やはりTwitter上での発言も見ていましたが、実際にお話ししてみると共通の知り合いがいてびっくり!
例えば、東北大学工学部の教授だった原山優子先生もその一人です。
原山先生は、9月からOECDの勤務になりますね。

ディナーが終わった後、バイリンガルに育っているお嬢ちゃま達と手を繋いで、あれこれ喋りながら駅まで向かいました。
また会いに来ますね!(覚えていてくれるかな?)
by osumi1128 | 2010-08-20 08:02 | 旅の思い出

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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