萩の花に寄せて
2010年 09月 19日

9月号は「十和田市現代美術館」にあるロン・ミュエクのスタンディング・ウーマンだったりしたのだけど、今回、取り上げられていたのは入江泰吉記念奈良市写真美術館。
で、婦人画報に載っていた写真は、華奢な花を付けるだった。
「万葉集でもっとも取り上げられている花は萩」と書かれている。
入江氏は戦後に「仏像を進駐軍に押収されるかもしれないから写真に収めなければ」と考えて、奈良の仏像を撮る間に、花々にも目が向くようになったのだという。
(婦人画報表紙画像はHPより拝借)
萩は日本全国に分布しているのだから万葉集で詠われるのも宜なるかな、なのだけど、元神奈川県民の私はあまり印象がない。
秋の花というれど、金木犀の方がその香りとともに記憶されているし。
ちゃんと萩の花を意識するようになったのは東北大学に赴任してからで、それは宮城県の県花が「萩」だったから。
歌舞伎の「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」が伊達藩のお家騒動を扱ったもので、「センダイハギ」は花期が5〜6月というのだけど、宮城県立美術館の庭の萩は、秋に見事な花を付ける。
で、東北大学は2007年の百周年を記念して新たなロゴマークを制定したのだが、このシンボルが「萩」の花なのだ。
(注:藤ではありません。念のため)
当初は随分と和風なロゴマークだと思ったけど、名刺やプレゼンスライドやプレス発表の記事等で遣い続けているうちに馴染んできた。
「グローバル萩」と呼ばれる円形のマークに相応しい大学になるには、課題は山積しているが、ロンドンのアーティストに依頼して、きっちり「使用マニュアル」も作られたロゴマークは、東北大学の次の100年を見守ってくれることだろう。
【関連リンク】
『入江泰吉・万葉花さんぽ』(中西 進, 入江 泰吉著、小学館文庫)
仙台通信:東北大学ロゴマーク