2010年ノーベル賞の行方
2010年 10月 03日
4日生理学医学、5日物理学、6日化学、7日文学、8日平和、11日経済学の順に発表される。
よく「医学生理学賞」と言われるが、Nobel Prize in Physiology & Medicineなので、生理学が先。
こちらの毎日新聞のオンライン記事によれば、地元新聞の記者の予想では、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作成した山中伸弥・京都大教授が「最有力」とのこと。
山中さんは昨年、ノーベル賞の登竜門とも言われるラスカー賞を受賞された他、ハーベイレクチャーもされたし、今年11月には京都賞も受賞予定。
応用面ではまだ実用化には至っていないが、時間を巻き戻して、細胞をナイーブな状態に戻すことができる仕組みの一端を明らかにしたことは、生命科学の歴史の中で大きなマイルストーンといえる。
コレステロール下げる「スタチン」という薬剤を開発した遠藤章・東京農工大特別栄誉教授も候補者の一人に挙がっているが、遠藤先生は東北大学農学部の出身。
よって、仙台メディアもそわそわしている。
コレステロールは下げれば良いかというと、必ずしもそうは言えないのだが、スタチンはすでに広く使われており、遠藤先生には2006年に日本国際賞が授与された。
その他、カーボンナノチューブの発見と電子顕微鏡による構造決定をされた飯島澄男先生も化学賞か物理学賞の候補者として、毎回のように名前が挙がる。
東北大学大学院理学研究科で学位を取得された方でもあり、仙台通信としてはこちらも応援したい。
その他、村上春樹も文学賞のリストの常連。
確かに、外国でも名前の通った日本の作家の筆頭であるし、描かれている世界は現代的かつグローバルなので宜なるかな。
誰が候補であれ、サポーターが多数いるということは、どんな業界の賞でも大事なことだと思う。
せっかくだから足を引っ張り合わないで欲しいなぁ……。
……という訳で今週はまさにそのノーベルウィークだが、こちらは日本学術会議の総会やら、内藤財団主催の国際カンファレンス「グリアワールドから見た脳」などで落ち着かない。
折しも、丁度良いタイミングで『脳科学のコスモロジー―幹細胞、ニューロン、グリア』(藤田 晢也, 浅野 孝雄著、医学書院)をゲットしたので、道中に読むつもり。
ノーベル賞はノーベル賞として、サイエンスを楽しまなくっちゃ!