2010年の生理学医学賞はIVF

毎年、下馬評騒がしい訳だが、今年のノーベル賞第一弾、生理学医学賞の受賞者は、体外受精in vitro fertirizationの技術を開発されたロバート・エドワーズ博士となった。

昨年がどうだったのか覚えていないのだが、ノーベル財団は受賞者発表をYouTubeでライブ中継し、また、速攻でTwitter上でも報じられた。
Robert G. Edwards is awarded the 2010 Nobel Laureate in Physiology or Medicine for the in vitro fertilization procedure. #nobelprize

See the official press release about the 2010 Nobel Prize in Physiology or Medicine http://bit.ly/a5pYi9 #nobelprize

Send your greetings to Robert G.Edwards on Nobelprize.org or pose your questions on YouTube http://bit.ly/bsw5hL #nobelprize






イギリスはいろいろな生殖技術の発祥の地。
エドワーズ博士はそのエジンバラ大学で学び、その後、ケンブリッジに移ったが、ケンブリッジには1950年代にカエルのクローンをつくったジョン・カードン博士がご健在(こちらもノーベル賞候補)。
ガードン博士が「遺伝情報は核にあるのか、細胞質にあるのか?」という問いを解くために、細胞の核が卵に移植されたのが、核移植の始まりだ。
また、胎児の培養技術を1950-60年代に開発されたデニス・ニューもケンブリッジ。
(何度か、カム川に面したお家にお邪魔させて頂いたことがある)
胚移植を開発したアン・マクラーレン博士もケンブリッジに関係する。
マクラーレン博士にはデイヴィッド・タルコフスキー博士と共に2002年に日本国際賞が贈られている。
エジンバラは1996年にクローン羊ドリーも生まれたところ。

……という訳で、何が言いたいかというと、新規の技術の開発には、その基礎となる技術やサイエンスがあり、それは地理的にも重なっていたりするということだ。

最初の「試験管ベビー」のルイーズちゃんが生まれたのが1978年で、ずいぶん昔だなぁ…とTwitterでつぶやいたら、「その頃生まれたので、そんな昔には思えない」というリツイートがあった。
ノーベル財団がカロリンスカ研究所で開いた記者会見では、先進国で1%くらいの方が体外授精で生まれているとのこと(すみません、聞き取りミスっていたら教えて下さい)。
それだけ浸透した医療技術であって、ノーベルが願った「人類の幸福につながる」科学・技術に相応しいといえる。

【参考サイト】
ロバート・エドワーズ博士のWikipediaは早くも書き換えられていますね。
先日、発表した哺乳類胚培養プロトコールのvideo journalはこちら。
by osumi1128 | 2010-10-04 19:31 | サイエンス

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