没後120年ゴッホ展@国立新美術館

日本学術会議というのは、いわばヴァーチャルな組織だが、事務機構の方々が働く建物は乃木坂の国立新美術館隣にある。
なので地の利を活かして、先日の総会の昼休み、速攻で「没後120年 ゴッホ展 こうして私はゴッホになった」を観てきた。
お昼ご飯はさすがに3階のポール・ボキューズで頂く余裕は無く、1階のカフェだったけど、充実した1時間だった。
いつも展観で買う訳ではないが、今回の図録は展示が充実していたということもあり、思わず衝動買い。
没後120年ゴッホ展@国立新美術館_d0028322_0491920.jpg




記憶は曖昧だが、はじめてゴッホの絵の写真を見たのは、おそらく中学の美術の教科書あたりではあるまいか。
たぶん、23点もあるという自画像のどれかだったと思うのだが、「自分で耳を切り落とした画家」という先入観があって、独特の筆遣いがあまり好きになれなかった。
それが変わったのがいつ頃だったのか、どうしても思い出せない。
ともあれ、今は興味深いと思う画家の一人である。
(人は、今までキライだったものが急に好きになったり、その逆だったりもあるものだが、得意なことは変わらない、だから、職業にするなら、好きなことよりも得意なことを選びなさい、というのは、誰の教訓だったっけ……)

今回のテーマは「Van Goch: The adventure of becoming an artist」となっているだけあって、ゴッホ自身の作品も、また彼が影響を受けた他の画家のものも、ほぼ時間順に並んでいて作風の変遷などがわかるようになっていたのが有り難かった。
(論文を読むときも、そのグループの論文を順番に読んだりすると、研究の流れがわかって面白い)
それにしても多作な画家だから、いろいろな展観ができるものだ。
尊敬していたというミレーの模写の素描などがたくさん展示されていた。
また、壁の色を非常にいい具合に塗ってあって、絵が引き立つようになっていたのが素晴らしい。
それから、ちょうどこの図録の表紙になっている「アルルの寝室」の実寸3D再現版と、CGデモも面白かったなぁ……。

ミレーの「種まく人」をモチーフにしたファン・ゴッホ美術館所蔵のものは、先日、ボストン美術館でも観た。
そのときはボストン美術館所蔵のミレーのものの横に展示されていて、2ヶ月でまたこんにちは、なんて珍しい。

さて、今回の「もし頂けるなら」は「アイリス」。
大きさも丁度良いし、色合いが好み。
実はピストル自殺の2ヶ月前くらいの作品なのだけど。
だからこそなのか、とても強いエネルギーを感じる。

月曜日だったせいか、とても空いていたのもラッキー。
でなきゃ、1時間で観て回るなんてとても無理。
今年の美術館巡りの中では、先日のオルセー展よりもさらに上を行ってたかな。
是非お薦めします!

【参考サイト】
ゴッホ展公式サイト
フクヘン。:ゴッホ展 こうして私はゴッホになった(良い作品の写真が見られます!)
仙台通信:ゴッホと北斗七星
Sendaitribune Togetter:ボストン美術館(海外の美術館は画像可のところが多いですね。ミレーの「種まく人」の画像アップしています)
by osumi1128 | 2010-10-07 01:30 | アート

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