時間の使い方について(若い方々へ):その1
2010年 10月 11日
男性同士、女性同士だったら、親戚ではない人との間でのゲノム遺伝情報の違いは0.1%と見積もられている。
男性と女性を平均的に比べたら0.3%で、同じやり方で平均的にヒトとチンパンジーを比較すると1.5%程度の差になる。
だから、個人の遺伝情報の違いは、元々それなりに大きいと言えるし、それは人が生物学的見地からは「平等=均質ではない」ことを意味する。
でも、唯一「平等」なことは、誰も一日24時間しか持っていないことだ。
常々、会議で寝ている方の分など頂いて、30時間/日くらいあったら……と思っているが(苦笑)、残念ながらそんなことはできない。
だから「時間の使い方がすべて」と思う。
では、時間の使い方って、具体的にはどうすればよいのか、というときに、若い方々に言うことがいくつかある。
【1.時間がどのくらいかかるか見極めよう】
ある作業をするのに、どのくらいの時間がかかるかを、なるべく正確に把握することは、時間をうまく使うための第一歩だ。
30分で済む作業を、1時間のインキュベーションタイムに入れると、30分分、結局だらだらして終わるかもしれない。
30分かかる作業を、15分の待ち時間でやろうとすると、焦って仕事の精度が落ちる可能性がある。
例えば、朝、研究室に来て、コンピュータを立ち上げて、メールチェックするのに何分かかるか。
返事をすぐすべきメールと、少し調べたりするので時間がかかるものを仕分けるのには、返事まで書くのには……。
それを〈身体的に〉把握して、どの時間に何をするのかを割り振るべきなのだ。
「3ヶ月後までに、論文書きます!」と言う学生さんに、「じゃぁ、論文の図の1つ分の英文を書くのに、あなたはどれくらいの時間かかりそう?」と訊いて答えられないことが多い。
だとすると、「3ヶ月」という見積もりは、あくまで「希望」であって、現実的なものではない。
1頁の英文を書く時間が把握できれば、30頁の論文原稿が出来上がる期間は、誤差はあるにせよ算出できる。
どんな仕事でもプロになりたかったら、まずはプロジェクトを小さな作業一つ一つに分けて、その一つにどのくらいの時間がかかるのかを〈予測〉し、それが実際にどのくらいかかったのか〈実証〉しよう。
それを繰り返して、かかる時間の予測の精度を上げることが、良い仕事をするためには大切なことである。
……続きは、また明日。