アルケッチャーノを思い出して:『視線の先に』

アルケッチャーノを思い出して:『視線の先に』_d0028322_1124911.jpg仙台に来て11年になるが、地元の情報誌Kappo仙台闊歩はこの11月号が8周年記念とのこと。
新しい飲食店の紹介も満載なので、美味しいモノ好きの方は是非ww

一緒に買ってきたのは『視線の先に 料理人・奥田政行の目指すもの』(川野達子著、仙台闊歩新書)
Kappoに連載されていたので、ときどき読んでいたのが、まとまって本になったのは有り難い。
山形県鶴岡にあるイタリアン、アルケッチャーノのシェフ、奥田さんを取材した記事。




お店の名前の「アルケッチャーノ」は「あったのよねぇ」という意味の庄内弁。
隣接するカフェは「イルケッチャーノ」で、次は「ウルケッチャーノ」を予定しているとのことだけど、それってオヤジギャグ?

山形に有名なイタリアンがあって行きたいなとは思っていたのだけど、地産地消、とか、情熱大陸、とか、そういうのが鼻につくのはちょっとなぁ…と実はこっそり思っていた。
お茶のお友達が予約を入れて下さって、ご一緒したのは何年前だったか……。
そう、確か2年ほど前の2月くらいだったような気がする。
仙台からなら、バスを使うのが一番便利なのだろうけど、雪道は危険かも、というので(いや、そんなにキケンではないと思うのだけど)、東京から合流したお友達とともに、行きは秋田経由、帰りは山形経由でJR東日本に奉仕したっけ。

そのアルケッチャーノは居心地の良い小ささと、美味しいものを食べる人々の賑やかさがあった。
お料理は小さなポーションで10品くらいだったか、それぞれ大事に作られていて、あー、負けた、勝手な先入観でごめんなさい、と思った。
奥田さんは、お料理が最後まで出た後に、テーブルに来てくださった。
(下記、関連サイト参照)

以来、違う季節にまた訪れたいと願いつつ、なかなかその機会が無い。
その間に、新宿伊勢丹での期間限定出店やら、銀座には「ヤマガタ サンダンデロ」(=山形産なんでしょ)というアンテナショップの開業やらがあった。
なんてパワフルな方なんだ……。

*****
「私は、何か新しいことを探しているときがいちばん自分らしいと思っています。それに、これまでと違う環境に身を置いたとき、そこで自分がどんな行動を起こし、どんな力を発揮するのか、見てみたいんです。それには朝鮮し続けるしかないんですよね。」(第一章 機は熟した)
*****
「自分の夢を百としたら、それ以外のイヤなことを三倍やらなくては、夢は実現しないと言い聞かせ、それを実行してきました。」(第二章 紡ぎ出すもの)
*****
「奥田は天才なんかじゃありません。いつも精一杯、努力をしてきたんです。」
ずっとそばで奥田を見続けてきた妻のみつよは言う。(第三章 夢の道中)
*****

本書を読みながら、取材をして、それを文章に起こすという仕事も大変なことだと感じた。
良い距離感、信頼、リスペクト、そういうものが無いと駄目なんだろうなぁ……。
また、そもそも、そういう文章を載せる媒体が無ければ何も始まらない。

連載中から目を楽しませてくれたお料理や野菜や庄内の畑の写真は長谷川潤という方のもの。
ところどころに折り込まれていて嬉しい。

ちなみに、アルケッチャーノの近く(でもないか)にはクラゲの飼育世界一の加茂水族館もある。
ノーベル化学賞の下村先生も、先日、一日館長を務められたとか。
そうそう、経営傾き書けた加茂水族館を立て直した館長の村上さんもアイディアマンだった。

…って、ほとんど書評の体を為していない文章ですが、アルケッチャーノに興味のある方は是非!

【関連サイト】
『視線の先に 料理人・奥田政行の目指すもの』(川野達子著、仙台闊歩新書)
仙台通信:アルケッチャーノ
仙台通信:下村さんの講演会とパネルディスカッション
仙台通信:『山形加茂海岸のクラゲ』ほか
by osumi1128 | 2010-10-25 01:28 | 書評

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