拙著紹介『脳の発生・発達 神経発生学入門』(朝倉書店)

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うちの両親の仲人をされた湯浅明先生のところには、小さい頃、毎年お年賀に行ったのだけど、御著書の多い先生で「積み上げて自分の背丈になるくらい本を出すのが目標」と仰っておられたことは妙に覚えている。
「研究者」というよりは「学者」さんという印象。
時代も今とは、だいぶ違うのだけど。

よくラボ見学に来る学生さんに「将来はどうしたいの?」と訊くと「研究者になりたい」と言うので、「研究者ってどんなイメージ?」とさらに尋ねると「毎日、実験して……」と答える人が多くて、うーん、それだけじゃないなぁ……と思う。

ともあれ、11月25日に上梓された拙著のご紹介。
脳の発生・発達 神経発生学入門』という著書を朝倉書店から「脳科学ライブラリーシリーズ第2巻」として出して頂いた。
ちなみに偶然なのだけど、同じ日に同じく朝倉さんから刊行された『言語の生物学』(中島平三監修/長谷川寿一編)にも1章書いている。




実は、CRESTの領域統括であった津本先生から執筆を勧められて書き始めたのは2007年の年末。
途中で諸事情により頓挫していた期間もあり、編集者さんも交替があったりで、スパートをかけたのが2009年末。
2010年内に出版できたのは何よりだった。

神経発生学が専門とはいえ、自分の得意な分野とそうでないところがあることは、全体に渡って書いてみるとよくわかる。
なので、数名の方には通読を御願いした。
編集の後藤様、太田様にはとってもお世話になった。
この場を借りて感謝したい。

あと書きにも書いたのだが、心がけたことの一つは、歴史やエピソードをなるべく折り込みたい、ということだった。
入門書ではあるが、無味乾燥な教科書ではなくて、読んで面白い副読本のようなものにしたかった。
科学を行うのは〈人〉だからだ。

ちなみに、小林秀雄の『壺』というエッセイの中に「人間が泥を捏ねて、火で焼く工夫を始めた時、壺を作ってみて初めて安心したに違いない」という行があって気に入っている。
同様に思われるのは、人間が言葉を作り出して、最初は「契約書」や「法典」のようなものに使われたのだろうが、すぐに「史書」や「伝記」に相当するもの(例えばホメロスとか、聖書とか、仏典とか、日本書紀とか)が好んで書かれたということがあり、言葉はそういう風に「語るツール」であったし、これからもそうだと思う。
by osumi1128 | 2010-11-30 23:43 | 書評

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