幹細胞研究所@ミュンヘン訪問
2011年 05月 24日
ホスト先のMagdalena Gotzの研究室の学生・ポスドクさん、同じ研究所の研究室主催者の方々との懇談がびしっと夕方まで入っていて、最後夕食を終えて10時過ぎに戻ったらへとへとだった。
Magdalenaが研究所長を務めるInstitute of Stem Cell ResearchはHelmholtz Zentrum Munchen, German Research Center for Environmental Healthという組織の一翼を担う。
他にも、日本の理化学研究所・発生再生研究センターの西川伸一先生のところでポスドクをしていたTim Shroederが所属している。
さらに並立するInstitute of Developmental Genomics (IDG)(まぁ「発生ゲノム研究所」と訳しておこうか)にはWolfgang Wurstをヘッドとして、5つの神経系のグループがあり、両者は互いに刺激し、設備を共有し合える良い関係にある。
貧乏性故、国際学会に参加する際には近隣の生命科学系の研究所を訪ねることを20年近く続けているが、10年ほど前は「日本の方が設備がいいくらい」という印象だったのに、ここのところ「負けた」感が強い。
学生さんやポスドクさんの最新成果の話を聞いていると、新しい技術の取り入れ方に自然な感じがする。
私が感じる「負け感」は、生化学や神経生物学、発生生物学などの分野が、構造生物学だったりシステム生物学だったり、新しい分野とどのように融合的・有機的な研究組織を作り上げるか、という点において、日本の縦割り文化が大きな障害になっているせいなのではと思う。
費用のかかる最新設備を共通化して有効利用するだけでなく、研究者同士の交流も盛んにする仕組みを作る上で、日本の、とくに大学の組織の対応は大きく遅れを取っている気がする。
あるいは、研究所長に(危機感のある)40-50代の人材を抜擢することなどが難しいからかもしれない。
さらに、産学連携や広報面のスペシャリストを充実させていることも、直接的・間接的に大きく影響している。
まったく、最低でも2週間の夏休みを取り、ウィークデイだって家族と過ごす時間の長い国の人達の方が成功を収めているのは、合理的な精神が根っこにあるからかなぁ……。
日本の文化は一見「効率」を重視しているようであって、非合理的だ。
皆が楽をする方向で考えられず、互いの足を引っ張るような力学が働く。
関連して、最近読んだブログで思わず膝を打ったのはこちら。
【ちきりんの日記】
エアコン設計にみる昭和的発想(2011/5/21)
共同問題解決という手法