発表終わり

今朝は8:30からのシンポジウム、しかもトップバッター。
朝が苦手な私としてこれほど辛いことはない。
7時に起きてルームサービスで朝食を頼み、スライドの最終チェックをして、10分前に会場へ向かう。
(こういうとき、近いと便利なのだ。つまり、方向音痴+朝が苦手の両方のために、会場隣接のホテルを選んでいることになる)

一番大きなホールはさすがに8時半だとまだガラガラで、ちょっとやる気をそがれる。
しかも、同じセッションの最後に話す予定のFred Gageの姿がまだ会場になくて、さらにがっかり。
まあ、前座だから仕方ないなと諦め、アドレナリンを上げようと努力する。
Keynoteでの初プレゼンは、85点くらい。
とにかく時間をきっちり終わるようにオーガナイザーからは厳しく言われたので(直後が中西重忠先生の特別講演のため)、途中数枚のスライドをはしょり、20秒前に発表を終えたのだが、最後にCollaboratorsのスライドを見せるのを忘れてしまったのだ。
これはプレゼンとして大変失礼なことだ(深く反省)。
質疑応答はやっぱり頭の働きが悪くて、言いたいことを120%伝えられなかったので、80点というところか。

6人のスピーカーで、最後のスピーカーのGageが5分オーバーしたが、これはPlenary Lectureに呼んでいるくらいなのだから、多めに見てあげないといけない。
でも、時間が押しているから質問なしというのは、ちょっと可哀想。
Plenary Lectureは仕方ないとして、Symposiumなんだから・・・

その後の中西先生のお話は、お若い時に何を考え、どんな風に研究していらしたのかが分かって意義深かった。
冒頭に紹介していたSydney Brennerの言葉が面白かったので、ここで紹介しておこう。

Progress in science depends on new techniques, new discoveries, and new ideas, probably in that order.

中西先生ご自身も、常に時代の最先端のテクニックを取り入れて研究を進めてこられた。
私も同感で、技術の開発がブレイクスルーに繋がると信じて、例えば培養哺乳類胚を用いたelectroporationなどを確立してきた。
同時に、廃れてはいけない技術を伝承することも大切だと思う。
例えば、電子顕微鏡技術などは、キットでできないので若い世代の方があまり行わない傾向があるが、これはとても重要だと考えている。

さて、これからFred Gageとディスカッションの予定。
午後のセッションの後には、午前中のシンポジウムの演者とその仲間たちで中華街に繰り出して打ち上げの予定。
幸い台風は昨晩抜けていって、今日は良い天気だ。
Commented by 39歳 at 2005-07-27 18:28 x
Brennerさんの言葉は気になりますね。新しい技術を取り入れるのが得意じゃない自分としては、当たっているとは思いますが、あたってない部分も大いにあって欲しいという感想です。例えばDNA microarrayなどは画期的ですが、高価で、dataのどれを大事にすべきか分からず、やりっぱなしみたいな論文もあるように思います、ご存知のように。一方で、それぞれの分野において技術開発の前に、あるいはちゃんと証明がなされる前に、何年も先を見越したような優れた理論、その後の土台になるような、を思いついた人がいますね。昔に比べてこれだけ科学が発達した現在では、そういうことは減って、なおかつ小粒になる一方でしょうか?
Commented by osumi1128 at 2005-07-27 22:08
コメント有り難うございました。
確かに言われるような面もありますね。
でも、道具や技術も使い方なので、それを開発する人と、使いこなす人が違うという場合もあると思います。
ちなみにマイクロアレイは単にprofilingのように使うのはあまり意味がなさそうですが、開発当初よりもソフトも良くなり、面白い使い方が出てきています。
うちではPax6という転写因子の標的遺伝子候補を探索するのに、野生型とホモ接合胎児とのmRNAを比較して、柳の下にドジョウが3匹くらいはいました。

これから先にどんな技術が出てくるかは、誰も予測できないのではないでしょうか?
また、先駆的な理論についても同様だと思っています。
結構楽天的な性格だからかもしれません。

サイエンスもその人の個性が表れるものだと思います。
自分に合ったサイエンスをするのが幸せなことなのでは?
Commented by magu at 2005-07-28 01:50 x
Sydney Brennerは、いろいろと含蓄に富んだ言葉を残していますね。今回引用された言葉は、人によって、また置かれたケースによって賛否両論だと思います。私は、最新のハイテクを使えば、どんな場合でもいい成果が上がるとは思っていません。ローテク(例:従来の生化学、免疫染色)の組み合わせだけでも、新しいテーマや理論の発見は充分可能だと思っています。特に、発生学の分野は、古典的な実験発生学的手法から最新のハイテクまで、それぞれの技術を用いた研究が分野の発展に充分貢献できる稀有な分野なので、必要もないのに最新のハイテクを追いかけなくてもいいのでは?とも考えてしまいます。もちろん、問題を解くのにハイテクが有効な場合には、これを使うべきですが。
Commented by osumi1128 at 2005-07-28 14:00
maguさん
もちろんその通りだと思います。
ハイテクであれ、ローテクであれ、それを使いこなしてこそだし、そのデータから何を考えるかがとても楽しく、それぞれの人の個性がでるところだと思います。
皆が同じテクニックを使う必要もないし、例えば本文でも述べましたが、電子顕微鏡技術などは1960年代のハイテクで、今でも重要だと思うので、それを行う人が少ないことに不安を覚えています。
技術はなんらかのやり方で人から人へと伝えなければ、機械だけあったり、機械の設計図だけあったりしても駄目だからです。
同時に、ハイテクで遊んでみるのも新しい発見があるかもしれないと思います。
どんなテクニックでも使いこなすまでには時間もかかるものではないでしょうか?
by osumi1128 | 2005-07-27 13:20 | Comments(4)

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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