フィレンツェの思い出

人は皆、初めて訪れた外国の街に大きな影響を受けるという。
私の場合は、大学生のときに母の国際学会に同行して行ったカナダのトロントが最初で、それは私にとっての一つの「外国」のスタンダードになっていた。
例えば、日本語が通じない(当たり前だけど、そうでない外国の街もある)、車が右側を走っている(英国連邦は日本と同じ側だけど)、いろいろなモノのサイズが大きい、東京より人口密度が少ない(今なら上海とかの方が多いのだろうか)……。
その後(ほとんどが仕事だが)訪れた街のバリエーションが増え、何度も訪れたい好きな街ができてきたが、今回のフィレンツェはこれまでのリストをあっさり塗り替えてトップになった。
友人の数学科のK先生は、大学生の頃にフィレンツェ・ローマに行かれたらしい。いいなぁ……。
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Duomo, Firenze, 2011




こちらの画像は街の象徴ともいえるサンタ・マリア・デル・フィオーレ聖堂のいわゆる「ドゥオーモ(大聖堂)」の正面写真。
白い大理石を使った壁面と茶色い甍の組み合わせが、イタリアのゴシック様式としての典型だという。
実はこのドゥオーモの中には今回立ち入ってはいない。
あまりにも観光客が溢れかえっていて、しかも湿度が日本より少ないとはいえ暑い日が続いていたので「まぁ、次回にしよう」とパスした(軟弱なわたし)。

イタリアという国は、食べ物だったり(イタリア料理は世界制覇している)、ファッションだったり(いい加減なイメージがあるのに、靴を作らせたらイタリア人に適う人はいない、くらいに思う)、なんとなく知っているつもりだったのに、それは大いなる間違いであることにフィレンツェ初日から気付かされた。
石畳の路や、狭い通りや、石の壁の建物などの古いヨーロッパの典型の街並みはすでに体験済み、と思っていたが、ここは何かが違う。
観光のメッカでありつつ、街全体が心地よい。
主だったスポットにほとんど歩いて行けることも、人間的な街になっている理由だろう。
犬も歩けばジェラート屋さんに当たるかリストランテに当たるか、至るところに昔からのカフェがあって(故にスターバックスは存在しない)、さらに少し歩けばピアッツァ(広場)で休むこともできる。
車やバイクも走ってはいるけど、人が歩くことを基本とした都市デザイン。
まぁ、自動車以前に栄えた街であるからなのだけど。

夏のヨーロッパのいいところは、日が長くサマータイムもあって、仕事が終わってから観て回ることができることだ。
ヴェッキオ宮殿やウフィッツイ美術館を訪れて、イタリアに富が集積していた時代がいかに長かったのかを実感した。
イギリス、フランス、ドイツだけ見てヨーロッパを分かったつもりになっていては駄目ってことね。
GDPが下がってきた日本に対して「イタリアあたりを目指せばいい」という意見を読んだことがあるが、いやいや、かの国は古代ローマ帝国からルネッサンスに至る貯金があるから、その利子で余裕で回しているような国なのかもしれない。
かつての日本のバブルも、100年続いたら本物になったかもしれないのだが。
(……まぁ、政治と経済は本業ではないので、勝手な私見です。)

ホテルに近いピアッツァ・デル・リパブリカは一番大きな広場で、ノスタルジックな回転木馬があった。
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Piazza del Republica, Firenze, 2011

街の中心を川が流れていることも、雰囲気に影響を与えているかもしれない。
最後のSocial Dinnerの前に会場近くでの夕陽。
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by osumi1128 | 2011-07-25 00:52 | 旅の思い出

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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