最近の書棚から
2011年 08月 18日
この夏に読んだ本で面白かったものの感想など。
『繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史(上・下)』(マット・リドレー著、早川書房)
マット・リドレーは『やわらかな遺伝子』や『赤の女王』など、面白い科学の一般書を書いているが、今回は「生き物としてのヒト」よりは「文化を持った人間」が中心。
人間だけがなぜこんなにも急激に自身の周囲の環境を変えてきたのか、そこには「アイディアがつがう(生殖する)ことによる進化」があると主張する。
いつだって「昔の方が良かった」と嘆く人は多い(とくに知識階級に?)のだが、実際は、人間はどの時代でも、前の時代よりずっと暮らし向きは良くなっている、だからこれからの未来も明るいとリドレーは考える(原題はRational Optimist)。
そのために必要なのは、自由にアイディアを繁殖させることであり、歴史的に停滞期は専制君主による自由な取引の抑圧などがあったためであると彼は考える。
ちなみに帯は糸井重里が書いていて、表紙デザインに使われているのは、ブリューゲルとルーベンスの共作による「楽園のアダムとイヴ」。
『日本料理の贅沢』(神田裕行著、講談社現代新書)
いわゆる『ミシュランガイド東京』で3年連続三つ星を取った「かんだ」の主人、神田裕行氏が著者。
友人が「一度、〈かんだ〉に行くといいよ」と言うので、事前リサーチのために読んでみたのだが、これがめっぽう面白い。
神田氏が考える日本料理の哲学や理想について書かれているのだが、逐一根拠が挙げられているのが理系人間のツボに嵌る。
「鮪はなぜ泳いでいないと死んでしまうか、というと、体温を冷やすため。なので、釣ったらすぐに締めないと身が焼けてしまう」なんて具合。
うーん、やっぱり「かんだ」は行ってみなきゃ。
『3652 伊坂幸太郎エッセイ集』(伊坂幸太郎著、新潮社)
「エッセイが苦手」という伊坂幸太郎の2000年から10年間のエッセイをまとめたもの。
まぁ、確かに「上手」な文章ではないのだけど、だからこそかえって伊坂らしさに溢れている。
きっとコアなファンならそこがいいと思うだろう。
正義感だったり(ただし声高にではなく)、性善説だったり(楽観主義とも)、あるいはオヤジギャグだったり(単なるダジャレも含めて)。
私にとっては伊坂は『重力ピエロ』が映画化された際に、舞台となった仙台各地でロケが行われ、ここの医学部の実験室もロケ地になった、というインパクトが大きいから、ちょっと割り引かないといけないかも。














