書評:自分のアタマで考えよう
2011年 11月 05日

バブルの最盛期に証券会社で働き、米国留学して大学院も修了した後、外資系企業に勤務、その後、早期リタイアして「働かない生活」を謳歌しているという、ユニークな経歴の持ち主の、毎回「そんじゃーね!」で終わる、一見「おちゃらけ」ているような書きぶりに騙されてはいけない。
種々のデータを分析し、それを「視覚化」することに優れ、思考した上の「意見」とともに呈示するからこそ、月間100万のページビューを誇るαブロガーとなる訳だ。
副題が「知識にだまされない思考の技術」となっているように、知識(=情報)も大事だけど、それを元にして「自分のアタマで考える」ことがもっと大事という主張は、あまりに「当たり前」なのだけど、「じゃぁ、どうやったらいいの?」と困ってしまう人に、本書はいくつかの実践的なヒントを与えてくれる。
いくつか標語を挙げておこう。
知識とは「過去の事実の積み重ね」であり、思考とは「未来に通用する論理の到達点」です。(序より)
「作業」を「思考」と思い込むワナ(第1章の中のサブタイトルの1つ)
「なぜ?」「だからなんなの?」(第2章タイトル)
なぜ私たちは、政策の優先順位を決める「判断基準」がもてていないのでしょう?
それは「国全体として目指すべき目標の姿」が見えていないからです。(第5章より)
グラフの使い方が思考の「生産性」を左右する(第9章タイトル)
科学者を目指す若い方達に、是非お勧めしたい本である。
(そして、その指導者にとってもお役立ちかもしれない。)
ちきりん『自分のアタマで考えよう 知識にだまされない思考の技術」(ダイアモンド社)
ちきりん『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』(イースト・プレス社)