高校年限短縮なるか?

本日午前中、平成24年度第1回目の大学院説明会@仙台が開催された。
お天気にも恵まれ、参加者は90名近くに上った模様。
午後は「研究室門戸開放」だったので、それぞれ希望の研究室を訪問するスケジュール。
先日、塩野さんの鼎談でも「自然災害だけで滅んだ街は無い。人が集まれば再び栄える」と仰ってらしたけど、確かに若い方々が集まるところには新たな文化やイノベーションが生まれる。
なお、追ってUstream配信していたものは、短くして研究科HPにアップされる予定。

今年のスケジュールは以下のとおり。
・5月中旬 学生募集要項の公表
・6月2日(土) 大学院説明会(仙台開催)
・6月6日(水)~6月13日(水)大学院入学資格審査申請期間
・6月16日(土) 大学院説明会(東京開催)
・7月20日(金)~8月2日(木)大学院入学願書受付期間
・8月30日(木) 入学試験日
・9月13日(木)合格発表


さて、今朝の「“2年で高校卒業”認める方針」というニュースをラジオで聴いた。
戦後教育の「6・3・3制」を崩した多様な修学年限が、本当に日本で可能になるのだろうか?




小学校6年、中学校3年の義務教育に高校3年を経たのちに大学に進学する、という教育制度は、米国のprimary school, junior high school, high schoolを真似たものと言われるが、実際には米国ではhigh schoolは4年の年限が一般的であり、また州によってはprimary schoolが5年制でjunior high schoolが2年間のところもある。
もちろん、飛び級も日本よりは多いし、また「うちの子は勉強に着いていけるので、5歳でprimary schoolに通いたい」という希望も、応相談である。
(「うちの子早生まれなので、点数に下駄を履かせてほしい」というモンスターペアレントの要望とは真逆だ。)
ただし、着いていけなかったら「もう一年、5年生を履修すべき」と宣告される。
つまり、ベースとなる多様性が、日本よりははるかに大きい。

まぁ、日本も、義務教育をどのようにするか、高等教育機関はどう整備したらよいか、という明治維新から、第二次世界大戦後の混乱期までは多様性に富んでいたと言えなくもない。
国が負担する義務教育の年限は尋常小学校6年が精一杯という事情もあったのだろうし、それを超えて家計に負担をかけて教育を受けることはできないから、2年の高等小学校に進学して就職ないし家事手伝いをする子どもと、5年制の旧制中等教育学校(男子の中学校、実業学校、女子の高等女学校)に進学する子どもがいた訳だ。
さらに、陸軍幼年学校という制度では、旧制中学1年から旧制中学2年修了の子どもに受験資格を与えており、きっちり「何歳」と決まっていたのではない。
1950年まで存在していた旧制高等学校は、現在の大学教養課程を含み、さらに旧制の帝国大学への進学を前提としていたが、何年で卒業するかのバリエーションはずっと大きかった。
また、「高等師範」や「高等実業学校」という学校もあった。
ちなみに、日本で3番目の帝国大学として設立された東北大学は、それまでの帝国大学の入学資格が旧制高校卒業生に限定されていたことを改め、高等師範学校や高等実業学校卒業生、免許状所有者にまで拡大し、「傍系入学」も認める「門戸開放」を建学の理念とした。

「6・3・3制」は、日本の戦後教育の「民主化」「平等化」の象徴と見えなくもない。
私には「金太郎飴」のように、均質な働きバチを大量に生産する仕組みに思える。
そして、確かにこの仕組が実にうまくワークしたのが60年代から80年代までなのだろう。
(もちろん、日本には3年制の高等学校だけでなく、「高等専門学校」という5年制の教育機関も60校弱あり、毎年約1万人の卒業生が輩出され、就職するか、四年制大学に編入学する。)

今ここで「6・3・3制」を見直すことは(これまでに始まったことではないが)、人的多様化を生み出す仕組みとなれば良いと思う。
ニュースでは、この制度は「スポーツや芸術などで優れた才能を持つ生徒が大学などで専門的な教育を早く受けられるようにする」ものと扱われていたが、もし、2年半で卒業するなら、諸外国の秋入学にうまく連動するから、大学から国外で学ぶという選択肢を選ぶ生徒も増えるのではないだろうか。
大事なことは、学制をどうするか、ということではなく、個々人がその能力や興味に合った教育を受ける機会を享受し、そこで培われた知識やスキルや教養を活かしたキャリアパスが描けることだ。
みんなちがって、みんないい」(金子みすず『わたしと小鳥とすずと』)

【参考図書】
『吾父沢柳政太郎―伝記・沢柳政太郎 (沢柳礼次郎著、大空社)』
東北帝国大学の初代総長であった沢柳政太郎の伝記。
明治の終わりの頃の教育改革等もいろいろ書かれており、今より多様性に富んでいたことがわかる。
by osumi1128 | 2012-06-03 00:30 | 教育

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