ISSCR2012に行ってきた(その2):ロールモデルを見つけること

ISSCR2012に行ってきた(その2):ロールモデルを見つけること_d0028322_23474344.jpg国際幹細胞学会で、久しぶりにJanet Rossant先生にお目にかかった。
マウスの初期発生、とくに発生工学的技術を用いた研究をされている方で、私が大学院生だった当時、すでに確かトロント大学でPrincipal Investigator(PI)だった。
現在はこども病院(Hospitals for Sick Kids)の研究所のヘッドも兼ねておられ、少し幹細胞研究にシフトされたようだ。




初めてお目にかかったのは、オックスフォードで開かれたRetinoic Meetingという、専門性の高い小さな研究会。
確かNew Collegeという名前のカレッジだったと思うが、夏休みに学生が帰省して空いている寮が宿泊施設だった。
幸い一人部屋に当たったのだけど、木の床が微妙に傾いていて、家具は何世紀前のものだろうと感慨深かった。
ついでに思い出すと、食堂の壁にはずらっと名だたる学者(全部はわからなかった……)の肖像画が掛かり、向こうの方にはハイテーブル。
今なら「ハリーポッターの世界ね」と思うのかもしれないところで、朝昼晩と(美味しくない)ご飯を頂いた。
最初の晩、テーブルの上に何気なくハンドバッグを置いたら、お給仕のおばさんが来て(わかりにくい英語で)「そこにハンドバッグを置いたら駄目!」と怒られた。
テーブルというのは、パンを直に置くところで、ハンドバッグはむしろ床に置いた方が正しいマナーだった。

さて、その小さなミーティングで、invited speakerの一人がキャンセルになって、short talksの枠ができた。
「誰かトークをしたい人は10分あげますよ」とオーガナイザーのGillian Morriss-Kay先生に言われたのだが、ポスター参加だったので、35 mmスライド(!)は持参していなかった。
非常に悔しがった私の横で「常に用意をしておくものよ。チャンスの女神が微笑むように」と言われたのがJanetだった。

今回横浜でお会いして「覚えていらっしゃらないと思いますが……」と、そんなエピソードをお話し、「でも、それ以降、いつでも発表できるように気をつけることにしました。きっとそんなおかげで、今日があるのだと思います。一言、その御礼を言いたいと思ってました」と伝えると、「今ならPowerPointだから大丈夫ね」と笑われた。

GillianもJanetも、それから、Marianne Bronner-Fraser(今はMarianne Bronner)、大御所のNicole Le Douarin先生、そしてISSCRで冠レクチャーとなっている故Anne McLaren先生も、発生生物学の分野には20年前から素晴らしいPIの女性研究者がいらした。
Nicoleのフランス訛りの英語は聞き取りにくかったが(nativeじゃないからね)、皆、堂々と素晴らしい講演をされて、自分もそういう風になりたいと思った。
フロアから質問している姿をカッコイイと感じた。
けっして身近な存在ではなかったけど、論文に名前を見つけると嬉しかったし、国際学会に行けば、そういう活躍している方々にお会いして、エネルギーを分けてもらった気がする。

たぶん、ロールモデルはたくさんいた方がよい。
年が離れていても近くても、学べるところは取り入れて。
by osumi1128 | 2012-06-19 23:56 | ロールモデル

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