日本のアカデミア人材育成が危ない・その1【コメント表示】
2012年 07月 08日
昨日などは、しっかり梅雨でした。
ところで、先日、元三重大学学長の「つぼやき」ブログのアクセス数がものすごいことになった、というお話でしたが、関連したデータを示しておきます。
この10年間で若手教員のポストがいかに減ったか、これをなんとかしないと日本の教育も研究も科学技術振興も駄目になりますよ、ということです。
資料の元はこちら。
いろいろな問題というのは、一つの原因だけで生じるものではありません。
アカデミアポストの減少減少に至った要因には以下のようなものが考えられます。
・少子化による学生数減少に対応するため+日本の研究力を増すために「大学院重点化」政策が撃ちだされた。
・大学院重点化により、大学院生の定員を増やすために大学院生の指導ができるとみなされる「教授」ポストを増やす必要が生じた。
・教授を増やすために、教員の定員枠の助手(当時)や講師の分を減らして、教授ポストに振り替えた。
・大学院を修了する博士人材ポストとして「ポスドク1万人計画」が打ち出され、その後もポスドクは増え続けた(現在1万5千人程度)。
・(上記の図は平成10年と平成19年の比較なので、まだ反映されていませんが)年金受給年齢引き上げに対応して、大学教員の定年延長をし、若手ポストの空きが出るのが遅れている。
「つぼやき」の豊田先生が挙げられた図はこちらです。
2006年を境にした減少が、他国と著しく違うことが見えますね。
「大学の職階別教員数」グラフでいうと、助手・助教のポストが底を打った(だとよいのですが)のが2006年です。
21世紀COEの次の施策でグローバルCOEが開始されたのが2007年度、つまり法人化以降に為されたいろいろな「大学改革」で、研究の実行部隊の中心となるべき助教クラス人材は減り、教授は増加した大学院生の指導(メンタル含め)に加えて、種々の書類書きも膨大なものになって疲弊した、というのが私の見方です。
もう一つ、日本学術振興会特別研究員のPD(博士研究員レベル)の申請にあたり、人材の流動性を桝ために「研究室を変更すること」が義務付けられたことも、せっかく手塩にかけて育てて、さぁ、学位論文に加えてもう1つ2つ書けたらいいね、という段階の人材が、新しい研究環境に移って、そこで一からはじめなければならない、ということも論文数に影響したのではと考えます。
今、なんとかしないと、この国の人材育成は駄目になると思います。
なら、どうするか、次のブログに書くつもりですが、ご意見コメントとしてお寄せ下さい。