旅の総括:ラテンの国の人びと

海外出張後に仙台で斑会議が開催され、あちこちからゲストがいらして天手古舞。
加えて、講義やら申請書やら論文原稿やらオンパレードで、旅の総括をする時間が無かった。
明日行われる「クリスマス・レクチャーin仙台」のリハーサルを終えて、ちょっと一息の隙間に書いておこう。

*****
マドリッドでセミナーをホストして頂いたMarta Nietoさんと、そのご主人とともに、まだ明るい夜の8時過ぎから広場にテーブルを出しているバルで食事をしたときのこと。
「Norikoはいつから夏休みなの?」




「うーん<書類上>は8月の半ばに3日取ることになってるの」
「<書類上>」ってどういう意味?」
「えっと、休んだことにしないといけないの……(労働基準法云々を説明するのが面倒)」
「実際にはどうするの?」
「たぶん、仙台は涼しいから夏は抜け出したくないので、オフィスに行って論文書くかも……。去年の分をcatch upしないといけないからね」
「えーっ」
「Martaは何週間くらいの夏休み?」
「アメリカにいたときは(彼女はハーヴァードでポスドクだった)2週間。ここは4週間くらいが標準かな」
「すごいねー」
「でも、フランス人はもっとすごいよ! 彼らは6週間がバカンスだもの……」
「そうなんだー」

*****

パリではパスツール硏のPierre-Marie Lledoにホストしてもらったのだけど、夏休みのことを訊いてみた。
そうだね、まぁ、パリ在住の研究者は平均4週間くらいかな(普通の勤め人よりは短いと言いたいらしい)。ボクは普段はどこか外国に行くけど、今年は自宅を改装したので、片付けして終わるね。来年は上の娘を連れて日本に行きたいと思っている。フランス人の夏休みは長いし、皆、バラバラに取るから、まぁ、6月、7月、8月はなんのかんのいって、仕事は進まないね(苦笑)。
でも、このリセットの期間があるのが大事なんだと思うよ。その間、非日常になって、いろいろなことを考えたりできるからね。

そうか、彼らにとって夏休みは「リセット」なのだ。

日本の8月はお盆はあっても、年度の途中だし、一部の人達にとっては概算要求真っ盛りだし……。
かといって、年度の切れ目に休めるかというと、年度末ぎりぎりまで伝票処理はあるし……。
新暦のお正月は国民の休日だけど、子どもたちでせいぜい2週間、大人は1週間程度か、無理やり連休を合わせたら2週間くらいになるだろうか?
要するに、日本人は年がら年中、だらだらと働いている、という訳だ。

「夏は仕事は進まないね」と言い切れるのは、「個」が確立している国民性なのだろう。
休みを取りたい人は取りたいときに取る。
自分が休みの間に(よっぽどの懸案事項は申し送るとしても)できないことはできません、バカンス明けたら対応します、と言ってメールも「auto-reply」にしてしまう。
(実際は読んでいたりもするけど)

日本人は、平均的には「不安度の高い」性質があって(このネタはいずれちゃんと書きます)、それは良い面としては、公共交通機関がきっちり時間通りに発車したり(そうでないと皆、心配になる)、比較的、街が安全でクリーンだったりする(そうでないと皆、不快になる)ことに反映していると思うのだけど、悪い面としては「サボっていると思われたくない」から、周りの様子を伺って、なんとなく働いてしまう(あるいは、そういうフリをする)。

東大が「秋入学」に変更する予定とのことだが、どうせなら、会計年度も10月始まりにしたら何か良くなるだろうか?
……うーん、むしろ、年度末のバタバタがあって、夏休みにはならないような気がするなぁ……。
まぁ、単年度会計を止めて、2年毎に決算することにしたら、年度末は2年に1回になって楽になるかな?
……などなど、いろいろ考えてみたが、まぁ、何も変わらないだろう。

ともかく、フランスの友人の言った「バカンス=リセット」という言葉が心に残った。

*****

バルセロナで数日過ごした後のパリだったので、以前と印象がだいぶ違った。
開放的で装飾過剰気味のカタルーニャ文化にどっぷり浸かった後だと、パリの街は都会でお高く止まっている印象を受けた。
緯度が少し高くて日差しの角度が違うし、ちょっと気温の低い日に当ってしまったことも影響しているかもしれないが、初めてパリに行った「オノボリサン」のときとは、街の風景が違って見えたのは不思議だ。
物価も、ヘタすれば倍くらい高かったしね。
(お土産はバルセロナで買い込むべきだった……)

*****

パリでは、東北大学から出向している原山優子先生(元CSTP議員でもあり、レジオンドヌール勲章なんていうレアな賞も受賞されている方)を訪ね、元気のお裾分けを頂いたのだが、その他、gender issues関係の方との意見交換も終えて、夕方、駆け込みで閉館直前のオルセー美術館に行き、30分だけ、ピンポイントでゴッホを見てきた。
一昨年だったか日本で見た北斗七星の絵に再開できたのが嬉しかった。

さて、最後のディナーはどこで食べようか、と合流した友人と相談し、まぁ、明日は帰国だし、便利なところで、ということで、観光客のメッカ、マドレーヌ広場に地下鉄で向かった。
通勤帰りの時間帯で車内が混んでいて、やだなぁと思ったのだけど、上がって某有名ドコロの食料品店(注:リンク先は音が出ます)が見えたので意気揚々と「そうだ! お土産買いたい」と言って店内へ。
同じように世界各国からのお土産物色している人びとが90%(5%程度はパリジャン、パリジェンヌがいたと思う、勝手な想像ww)。
チョコレートは夏だから駄目ね、やっぱり軽いのはクッキーかしら……と考えているところに、紅顔の美少年登場。
「ジャムはいかがですか? これは黒すぐりです」と、プラスチックのスプーンを差し出す。
友人と顔を見合わせて「うーん、ジャムはガラスの瓶だし、重いよね……」という顔していたら、その少年は去っていった。
……が、再び、少年登場。
「こちらは栗のペーストです、美味しいでしょう?」
またもや、「(どうする? 見てみる?)」「(あんまり、気乗りしない……)」的な目配せが交わされ、少年は去っていった。
うーん、10代半ばの可愛い男の子だったのだけどね(西洋人は男女ともに10代が一番美しい)。

さて、さらにいろいろ、たくさんの種類のオリーブオイルを見たり(こっちは重たいのでパス)、ハーブが入ったゲランの塩などもちょっぴり買い込んで、レジに向かった。

…………!!!
無い、ない、無いっ!!!

お、お財布がなーい!!!
最後にお財布を使ったのは地下鉄に乗るときで、約30分前。
あー、魔が差したというか、気が抜けていたというか、トートバッグからお財布、見えていたに違いない。
海外で盗難に合ったのは初めての体験だ、もう四半世紀にわたって、毎年のように出ているけど。

幸いなことに、失ったものはお財布とその中に入っていたカード2種、現金が150ユーロほど。
ごめんなさいね、もしかして、もっとキャッシュがあるように見えてたかな?
幸いなことに、もう翌日、空港に行くタクシー代だけ友人にユーロを借りれば、なんとかなる。

……最終的に、カードを止める手続きは、翌日のCDG空港で行った。
怪しい引き落としは無いようだった。
で、再発行されたカードは今週、届いた(不在中なので受け取れてはいないが……苦笑)。
……とまぁ、ほぼ一件落着となったので、久々の「やってしまいました」ネタとしてブログ更新。

おっと、まだいろいろと引き落としになっていたものがあるから、順次、カード番号変更しないといけませんね……。
やれやれ。

*****
こういうことがあっても、また、海外には出たいと思う。
とくにバルセロナは、まだ見ることができないモノが多数あるし。
次からは、お土産物屋さんでは、お財布をきっちり、ファスナーの閉まるところに入れます。
旅の総括:ラテンの国の人びと_d0028322_1937721.jpg

画像はバルセロナのカタルーニャ音楽堂の美しい天井からのライト。
(画像が斜めっているのを直す時間がありません……悪しからず)
by osumi1128 | 2012-07-28 19:41 | 旅の思い出

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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