岡野さんのランチョンセミナー&束村さんの講演@ランチタイムミニシンポジウム
2012年 09月 20日
初日のランチョンセミナーの企画、講演、座長をしたのですが、600名の会場が大入りほぼ満員御礼。
神経発生、再生医療から進化まで幅広く研究されている慶應大学の岡野栄之先生がメイントークで、その前座を努めさせて頂きました。
スポンサーは理化学機器メーカーのナリシゲさんで、ランチョンスポンサー10周年を記念しての会だったので、盛会で何より。
ナリシゲさんは昨年もそうでしたが、今年もプラチナ・スポンサーです。
テーマは「脳の発生と進化の原理と多様性」ということで、私はこれまでの神経発生分野の研究をオーバービューして「時代は共通性から多様性に向かいつつある」というお話をしました。
岡野さんは、現在、FIRSTプログラムで展開している脳の進化のお話をされ、「どのようにヒトの脳は大きくなったのか」に関する分子レベルの研究の一端をご披露されました。
途中のジョークで、「かつて進化の研究をやりたいと言ったら、当時のボスのM先生に……M先生はこの会場にいらっしゃいませんよね?……そんなことは年を取ってからするものだ、と言われました。まぁ、私ももう50歳を超えたからいいでしょう」と話されたのですが、実際にはM先生は会場にいらっしゃって(爆)、後で私に「良いランチョンでしたね。ところで、あれはね……」とそのエピソードの顛末を話して下さいました。
進化の研究は人間を惹きつけてやまないロマンがありますが、現在はもしかしたら「証明できる」時代になりつつあるのかもしれません。
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昨日、学会2日目、お昼のランチョンセミナー枠で名古屋大学大学院農学研究科の束村博子先生がご講演されました。
タイトルは「女性を活かして科学を活性化」で、女性研究者の育成支援のお話でした。
(前日のランチョンでこの紹介スライドにタイポがあって、「女性を生かして……」と書いてしまったのが、私のトークの中では一番受けていたと言われてショックでした……ww)
お弁当は全部無くなったので、100名弱くらいの参加だったのでしょう。
束村さんもこういうお話はあちこちでされていらっしゃるので、スライドもきちんとデータに基いたものでわかりやすくまとめて下さいました。
一通り終わって質疑応答の折に、さらに追加で披露されたスライドが面白かったのでメモっておきます(出典を後で伺っておきます)。
40代男性へのアンケートで「上司に対してきっぱりとノーと言えるか?」という質問に対して、イエスだったのは次のような具合。
シングル・インカムの方:15%
ダブル・インカムの方:65%
たてついてリストラされたら困るから「妻子があると理不尽な上司からの命令に従わざるをえない」という心情が反映された結果だと思われます。
きっと、こういうところが、残業だったり、食品の偽造だったり、あるいは、何か、これは絶対マズいよね、と気づいても報告できない体質と繋がっているのでしょう。
……ということは逆に言えば、既得権を持った方は、その組織を安定化させるには、その部下がシングル・インカムの方が都合が良い訳ですね。
日本で性別役割分担からの脱却がしにくいのは、こういう社会全体の体質もあるのだなぁ、と気付かされました。
