森口騒動追加

1つ前のエントリーの続きです。
なぜ今回のiPS細胞関係以外の論文が2012年のScientific Report誌(下図)に載っていたのかと思っていたのですが、森口氏が「特任研究員」として雇用されている研究プロジェクトが「医工連携による磁場下過冷却(細胞)臓器凍結保存技術開発と臨床応用を目指した国際共同研究」という最先端・次世代研究開発支援プログラムであったことを確認して納得しました。

先端研究助成基金助成金(最先端・次世代研究開発支援プログラム)実施状況報告書(平成22年度)(PDF)
森口騒動追加_d0028322_4481946.jpg

が、この平成22年度報告書に書かれているNature Protocol, 2010という論文が見つかりません……(著者が誰なのかも不明。また報告書には研究員である森口氏の論文が挙がっていないのはプロジェクトとあまり関係が無いといえばそうですが、本来、研究員はそのプロジェクトに対する専念義務があるはずです)。

で、現状の「研究費の報告書」システムでは、虚偽があってもそれをチェックする機構が無いことに気づきました。
これまでは、このような報告書は監督官庁で保存されているだけであったと思いますが、現在は誰でも閲覧できるようになったことは、透明性や知の共有という意味で大きな進歩です。
もう一歩進んで、業績は受理されてオンライン掲載されたもののみリンク先埋め込みで報告書掲載、というシステムにでもすれば良いのでしょうか……。
でも、リンク先が(まだ)無い論文についてin pressとして書くのを認めないとなると、タイミングによっては辛いでしょうね。
99%(あるいはそれ以上)の研究者は虚偽の業績を報告書に載せることは無いと信じていますが、こういうことがあると研究者全体の評価が下がるのではないかと危惧します。
またごく少数の悪を取り締まるために「管理」を強めることは、誰にとっても建設的ではありません。
(日本の「キセル取締り」が諸外国のやり方に比して非合理的であることを考えて頂けば良いと思います)
by osumi1128 | 2012-10-15 05:22 | 科学技術政策 | Comments(0)

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