祝:黒田玲子先生ロレアルーユネスコ女性科学者賞ご受賞!にからんで考えたこと

今週月曜日の発表だったのですが、東北大学の経営協議会メンバーでもある黒田玲子先生が、ロレアルーユネスコ女性科学者賞を受賞されたという嬉しい報道がありました。
2013年度「ロレアルーユネスコ女性科学賞」受賞者5名発表 - 日本人化学者 黒田 玲子氏が受賞! -
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(こちらは2006年に東北大学で開催された「理系白書シンポジウム」の折のパンフレットから転載)
総合科学技術会議議員をされた後、現在は日本学術会議会員や、国際科学会議(ICSU)副会長を務められており、日本の女性科学者のロール・モデルのいちばんのトンガリのところにおられます。
いつもお忙しそうにしていらっしゃるのですが、さらなるご活躍に期待しています。




一方、数日前に発表になった2012年の世界ジェンダー・ギャップ指数ランキングでは、日本は前年の世界98位から後退して101位になったようです。
男女平等(ジェンダー・ギャップ)指数ランキング・国別順位(2012年)- 世界経済フォーラム

日本のジェンダー・ギャップが大きいのは、とくに戦後の国づくりにおいて、男性が外で働き、女性は家庭を守り子どもを育てる、というスタイルがいろいろな面で「効率的」と考えられたからだと思います。
「ウサギ小屋」と呼ばれた小さな家故、お父さんの居場所を作るよりも、外で長時間働いてもらった方がよく、社会として子どもを育てるためのインフラ整備をせずに家庭に任せてきた訳ですね。
ただ、バブル崩壊とともに、徐々にお父さんの仕事時間や収入が減ってきて、このかつて「効率的」だったはずのシステムが軋んできたのが現状です。

これからは、人口の半分を占める女性をうまく活用する必要がますます高まるでしょう。
たとえば、ひたすら作ってゴミを撒き散らす生産スタイルから脱却し、地球に優しく、持続的な社会を目指すことは、これまで男性の得意としてきた発想法ではないのかもしれません。
企業の方も行政の方も「試験の成績だと女性の方が圧倒的に強い」と口を揃えて仰るのですが、だとすると、そういう女性が高い職位に就かないのは、才能を潰しているってことですよね。

今年の『細胞工学』という雑誌にエッセイを書いたものを、出版社のご好意により別ブログの方にテキスト転載させて頂きました。
ご興味のある方はご笑覧下さい。

なぜ日本人女性PIには子どもが 少ないのか? 〜生物学的・文化的考察〜(細胞工学2012年5月号)
数字で考えるダイバーシティ 〜問題はサイエンスの世界だけではない〜(細胞工学2012年6月号記事)
by osumi1128 | 2012-10-26 22:31 | ロールモデル

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