日本人メンタリティーの真髄はコンビニにある

Wikipediaせんせいによれば
コンビニエンスストア (convenience store) とは、年中無休で長時間の営業を行い、小規模な店舗において主に食品、日用雑貨など多数の品種を扱う形態の小売店である。
略称は「コンビニ」「CVS」などで、これらの略称が定着する前の1980年代以前には「コンビ」「深夜スーパー」などという呼び方もされた。
多くの場合、大手資本によるチェーン店舗として展開されている。
日本の経済産業省の商業統計での業態分類としての「コンビニエンスストア」の定義は、飲食料品を扱い、売り場面積30平方メートル以上250平方メートル未満、営業時間が1日で14時間以上のセルフサービス販売店を指す。
なお、コンビニエンスストアの名称は、日用に供する食品・商品=コンビニエンス商品を扱う店と言う意味であったが、日本では利便性=コンビニエンスの店とされている。

その歴史は日本では1962年まで遡れるというが、ファミリーマート第一号店が1972年で、これを日本のコンビニ元年とみなすこともあるらしい。
扱う商品のバリエーションが増えただけでなく、営業時間帯が「朝7時から夜11時」から24時間になり、今や、公共料金の支払いから銀行のATM端末機能まで、本当に「便利」を追求したらこうなりました、という営業形態だ。





東日本大震災直後にコンビニから商品が消えたときには、これは非常事態だと思い、もはやコンビニ無しの生活は辛いと感じたが、うちの学生さんには常々「3食コンビニで生きるべからず」と言っている。
コンビニ弁当は基本的に揚げ物が多く、オメガ6系の油脂の摂取過多が問題だし、ほとんどの食品は「工場で作られた」もので、保存料、着色料などの添加物も気になる。
野菜を売っているコンビニもあるが、私はコンビニで野菜を買う気にはならない。
1年中売っている「おでん」はどうやって雑菌の繁殖を防いでいるのかを想像すると、体によさそうには思えない。

コンビニは一応ひととおり何でも揃っていて「便利」で、売っているものはきちんと賞味期限を守っていて「安心」ではあるが、別の観点で「安全」かどうかは疑問ということだ。

こんな例もある。
コンビニは多数の商品をハッキリくっきり見やすくするために、かなり照明を上げている。
夜中でも煌々と付いている明かりは、夜道を照らす防犯効果もあるかもしれないが、それ以上に、コンビニを訪れる人の昼夜リズムを乱す可能性が高い。
夜中にコンビニに行くのも問題なのだが、概日リズムの研究者に言わせると、それよりも「夕方、あたりが暗くなる頃にコンビニの明るすぎる照明を浴びるのが、もっとも昼夜リズムを狂わせる」らしい。
つまり、学校帰り、塾帰りの子どもたちがコンビニに立ち寄ることは、眠れない、朝起きられない、といった問題にも繋がる。

こういった点は、比較的直接的な健康への影響なのだが、もっと間接的な問題もあることに最近気づいた。
それは「便利で安心なことが当たり前」という感覚である。
日本の宅急便も、世界基準ではありえないくらいの「便利で安心」なサービスであるが、こういう「便利で安心」なことを公共サービスにも求めるようになりつつあることを危惧する。

例えば、病院も「なるべく近いところにあると便利♬」と思われるので、小規模の医院や病院が多数存在することになる。
「隣町のA病院には、4テスラのMRIが入ったんですって!」
「うちの町にも入れて欲しいわね〜」
という感覚でMRIが導入されると、その設備投資を回収するために「念の為にMRI検査もしておきましょうか」ということになり、結果的に医療費を増大させていることを、誰も止められない。
コンビニや宅急便は民間の経営で成り立たせているが、病院はたとえ私立のものであっても、そこで行われる医療サービスは国民皆保険制度に基づいていることを再認識すべきである。

日本人メンタリティーの真髄はコンビニにある。
「便利で安心」なものは嬉しい。
だが、長期的視点に立った場合に、そのリスクやコストは莫大なものになる。
日本人のメンタリティーを変えるためには、「リスクvsベネフィット」を自分で判断する意識の醸成や、そのための次世代の教育が必要であり、ある意味、震災はその一つのきっかけとなりうるはずだと思う
by osumi1128 | 2012-10-31 21:46 | オピニオン

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