三度さきがけへ:東北大学の男女共同参画のこれからに向けて

三度さきがけへ:東北大学の男女共同参画のこれからに向けて_d0028322_22495144.jpg前エントリーでご紹介しました、男女共同参画委員会による第10回東北大学男女共同参画シンポジウムが、総長、理事、関係各位ご列席のもとに、本日無事に開催されました。
ご来賓の文部科学省、板東久美子高等教育局長は、開会時のご挨拶から最後のパネルディスカッション、その後の茶話会までご参加頂きました。
板東局長は内閣府の男女共同参画局長時代から存じ上げており、文科省の生涯学習局長も歴任され、本年より、いわゆる大学=高等教育局のヘッドとなられた方で、確か、高等教育局長としては遠山敦子、元文部大臣に次いで二人目の女性局長だったかと思います。
最初のご挨拶も、たいていこういう偉い方の場合には、部下が原稿を用意して、それを読み上げるというパターンが多いのですが、原稿無しですべてご自分の言葉で語られました。
是非、遠山様元大臣に続いて、文科省のトップに、政治家ではなく行政官出身として、上り詰めて頂きたいと思います。
(ちなみに、我が東北大学総長の里見先生の開会のご挨拶も、原稿にほとんど目を落とすことなく、終始聴衆の方を向いて話されたのも、リーダーのスピーチとして「イイね!」と思いました。)




昨年、震災の影響で開催できなかったシンポジウムだったので、沢柳賞の受賞者のスピーチや、すでに受賞されたプロジェクト部門の成果報告も多数あり、とても盛りだくさんな内容でしたが、それだけに充実したイベントとなったと思います。
総合司会は広報WG座長の永次史先生、沢柳賞の審査や司会にご尽力頂いたのは、症例制度WG座長の田中真美先生です。
第一部の沢柳賞授賞式では、審査員長でもあった植木俊哉理事による全体の講評および授賞式の後、第9回研究部門受賞者の朝倉京子先生(医学系研究科)は、「日本の農村地域における男性看護師の生存方略」と題する研究内容の概略を話されました。
男性看護師は、いわば「逆マイノリティ」といえますね。
また、第10回の活動部門受賞者は「外国人留学生・研究者の出産・育児を支援する地域・大学協働プロジェクトチーム代表である経済学研究科の事務補佐員アロナさんは、年々増加する外国人留学生・研究者やその家族をサポートする活動について説明されました。
第7回プロジェクト部門受賞の成果報告は、女性と労働研究会代表である教育学研究科助教の朴賢淑(パク・ヒョンスク)さんから為され、留学生の中で、日本人学生よりも比率の多い女性のキャリア形成についての分析結果を披露されました。
最後は日程の問題からビデオ参加だったのですが、第8回沢柳賞のプロジェクト部門として「地域の子育て情報交換の場と父親の育児参加を促す企画としての科学普及活動」を行なっている理学研究科の技術補佐員、阿部比佐久氏、久利美和助教、村上祐子准教授からのメッセージでした。
お父さんが少年野球や少年サッカーのコーチをしたりする例はよくありますが、こちらは、その科学バージョンといった活動です。
「<一粒で三度美味しい>ような活動ですね」と理学研究科副研究科長の寺田先生にお話したら、「男子大学院生もサポートに行くと、将来の子育てのイメージ・トレーニングになるので、四度美味しい、ですよ!」と仰ってました。 確かに!

休憩を挟んでの第二部は、経済学研究科教授の吉田浩先生の特別講演から始まりました。
東北大学としては単に女性の教職員を増やすためにはどうしたらよいか、という受け身の姿勢ではなく、男女共同参画問題に関して大学が科学的に正しい真実と効果的な手法を社会に発信することが大事、という事例を、出生率と女性就業率との関係をグラフに示して説明されました。
また、「お題目」としての男女共同参画ではなく、そこに「実行力」が伴わなければならないこと(仏に魂を入れる)、そのために科学者が正しく提案する必要を述べられました。
最後は、先日のプレスリリースにもなった「幸福度に関する考察」についてでした。
「女性の社会進出は女性にとっては幸せかもしれないが、男性にとっては不幸せになるのではないか?」という素朴なギモンに対して、世界各国の「幸福度調査」のデータに基づいた分析をすると、「女性が幸福度と男性の幸福度は相関する」「女性の幸福感が男性より伸びたとしても、それによって男性の幸福感が阻害されることはない」という結果が得られたことをお話しになりました。
このようなデータに基づく考察は説得力がありますね。
吉田先生のプレスリリースはこちら

次いで、女性研究者育成支援推進室副室長、男女共同参画委員会副委員長である米永一郎先生から、東北大学の男女共同参画の歴史と現状のご報告があり、さらに、同委員会実態調査WG座長の吉成浩一先生から、一昨年に行った実態調査の結果が披露されました。
吉成先生は、東北大学での女性研究者育成支援事業についての周知度が、アンケートに回答した方々の中でも案外低いことを取り上げられ、育児期の女性研究者支援制度を、理工農分野から拡大することや、男性も利用できるようにすべき(現状でもシッター制度は利用可能)という自由記載からの意見などに触れられました。

最後のセッションはパネルディスカッションで、国レベルでも男女共同参画の推進にご尽力され、東北大学の男女共同参画委員会の設立に大きな貢献を果たされた辻村みよ子先生や、東北大学初代の理系女性教授であり、男女共同参画学協会連絡会でもご活躍され、文科省の女性研究者育成支援制度に繋げた立役者でもある栗原和枝先生も交え、板東局長、吉田先生、吉成先生も加えての討論となりました。
拙いコーディネーターでしたが、皆さんの熱のこもったご発表、ご意見により、良い議論ができたことは幸いでした。
これらをもとに、来年の「女子学生入学百周年記念事業」に繋げ、「東北大学の男女共同参画アクション・プラン(仮)」の策定の準備をしていきたいと思います。

茶話会では、乾杯のご発声で板東局長に再度ご挨拶頂きましたが、ノーベル賞の山中さんの研究者としてのスタートが比較的遅かったことを取り上げられ、皆それぞれの時計があって、力を発揮するタイミングは個々に異なるものだというお話が、とても印象に残りました。

日曜日にも関わらずお集まり頂いた100名弱の皆様、有難うございました。
また、事前の、準備から当日の運営まできめ細やかにサポートして下さいました総務課の皆様に心から感謝申し上げます。

【こっそり追記】
板東局長の赤紫系のツイード・スーツも素敵だったのですが、その首元を飾っていたスカーフは「昨日、夫がタイから帰って来たお土産なの」。
ちなみに、ご子息は東北大学法学部卒。
by osumi1128 | 2012-11-18 23:39 | 東北大学

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