オペラ@シドニー
2005年 09月 07日
コンサートホールに足を運ぶのはかなり久しぶりのことになる。
少し前は仙台フィルの友の会に入っていて、ラボから徒歩と地下鉄で30分くらいのホールに行ったものだが、定期演奏会と予定が合わないことが多くなって足が遠のいてしまった。
それにしても、コンサートホールという場所は独特の浮き立つ雰囲気がある。
外国だととくに(皆が皆という訳ではないが)正装した方たちも多く、「ハレ」の気持ちが高まるようだ。
シドニー2日目に訪れたオペラハウスだが、夜はまた違って、畏まったような様子に思える。
オペラハウスの中のカフェ兼レストランは見たところ料理はまともで、開演前に腹ごしらえをする人たちで賑わっている。
席は3階の真ん中辺りで見やすくてなかなか良い。
演目はドンジョバンニなのであまり馴染みがなく、覚えている歌といえば(なぜ覚えているかといえば『アマデウス』の中で出てきたからなのだが)、最後の方で、食事中のDon Giovanniの元にDonna Annaの亡くなったお父さんが黄泉の国からやってくるときの、ちょっとおどろおどろしいフレーズくらいだったが、飽きさせない展開(歌舞伎の世話物のような感じ)。
歌手は皆若手のようで、演出も舞台装置が単純な現代風(=低コスト)。
衣装もシンプルに徹していて、Donna Annaが黒、Donna Elviraが赤、Zerlinaが白とコントラスト重視(これも低コスト)。
オペラというと歌手は声重視、見た目は二の次というイメージだったが、最近は違うようだ。
今回の演出はMatthew Barclayというイギリス人、デザイナーがCarl Friedrichというドイツ人によるものだが、Don Giovanniの衣装はさらに単純で、肌が露出するものもいくつかあり、ドンファンたる主人公のセクシーさを強調している。
逆に言うと、そういうスタイルの歌手Teddy Tahu Rhodesだからこそ可能な演出なのかもしれない。
本当はマダムバタフライやラ・ボエームなどのアリアが聞いてみたかったが、幕間にワインを飲みながら外の港の夜景を眺められるというのは、シドニーオペラハウスならではの楽しさだった。