田中真紀子文部科学大臣ご祝辞@第28回国際生物学賞にて
2012年 12月 03日
ちゃんと要所要所で、アルトマン先生の方を向かれてスピーチされておられましたし、授賞式後の茶会ではもちろん英語でご対応されてました。
アルトマン先生のご業績をとてもうまくまとめてあったので、その内容をここに残しておきたいと思います。
第二十八回国際生物学賞授賞式 文部科学大臣祝辞
天皇皇后両陛下の御臨席を仰ぎ、第二十八回国際生物学賞授賞式が晴れやかに挙行されますことを心からお慶び申し上げます。
ただいま受賞の栄に浴されたジョセフ・アルトマン博士に対し、心から敬意と祝意を表したいと存じます。
哺乳類の成体の脳において、神経細胞が新しく生まれることはないと信じられてきましたが、アルトマン博士は、1960年代にこの定説を覆し、恒常的に神経細胞が新生していることを発見し、ひとたび損傷すると修復不能であると考えられてきた成体の脳が、一部で再構築を繰返していることを明らかにされました。現在、神経細胞の新生に関する研究は大きく進展し、神経科学の一分野として発展しており、アルトマン博士の業績は、世界の学術の進歩に大きく貢献した研究者に授与される国際生物学賞にふさわしいものです。
人類は、あくなき真理の探究を通して新しい知を生み出し、今日の社会と文明を築いて参りました。学術研究は、個々の研究者の自由な発想と知的好奇心・探求心に根ざした知的創造活動であり、それ自体が優れた知的・文化的価値を有するものです。
文部科学省といたしましても、優れた研究者がその能力を遺憾なく発揮できるよう、基礎研究を強化し、研究環境の整備を着実に進めるとともに、国際的な頭脳循環の中でグローバルに活躍できる若手研究人材の育成を進めて参ります。
結びに、アルトマン博士の研究の更なる発展を祈念申し上げるとともに、国際生物学賞の運営に御尽力いただいております国際生物学賞委員会をはじめ、関係各位の御努力に対し、感謝の意を表し、お祝いの言葉といたします。
平成24年11月26日 文部科学大臣 田 中 眞紀子
基礎研究の重要性を皆さんにご理解頂くためにも、昭和天皇在位60年を記念して設立されました国際生物学賞のことも、みなさんにもっと知って頂きたいと思います。
この賞では、昭和天皇を初めてとして皇室の方々が携わってこられた生物学の基礎的な研究に対して表彰しています。
そういう観点から言えば、ちょっと「イケてない」のはその名前ですね。
京都賞や日本国際賞は日本からの賞であることが明白なのに対して、International Prize for Biologyは、残念なことに「どの国からの賞」であるのかがわからないのです……。
Hirohito Prize for Biologyとするのは、日本の伝統から言って皇族の方のお名前を付けるのは恐れ多いことなのだと思いますが、より現代に合った国際的な賞になった方が、日本国民にとっても意義のあることなのではないでしょうか?