元ボスのセミナーでした
2005年 09月 10日
中村先生のところにいたのは書類上2年だけだが、とても大きな影響を受けた。
何しろ、東大生化時代のお仕事がG proteinで、留学先でprotein kinaseなのだが、神経センター神経研究所の部長のポジションを平成元年に得られたことをきっかけに神経科学の分野に入られ、シナプスの可塑性、脳の領野の成立の分子機構、そして今日のセミナーの話題であったヒヨコを用いた社会性獲得の研究に至るまで、非常に広い範囲に関しての見識をお持ちである。
当時印象的だったのは、とにかく新着雑誌を一番最初にすべて目を通してからラボのセミナー室に下ろされるということだった。
医科歯科時代の元ボスも同じようにされたのだが、私が大学院生として入った時点ですでにその点に関して挫折しておられ、私は(当時はまだwebで最新の論文が見られる状態ではなかったので)大いに文句を言ったものだった。
現在私はというと、新着雑誌は個人購読なので私の元に届くのだが、出張があったりして、それをラボに下ろすのは1週間過ぎてしまったりしている。
もうオンラインの時代なので、誰も文句は言わないが、自分としては駄目だなあと反省、というよりは諦観している状態。
セミナーの後、ラボの数人と飲みに行き、美味しい刺身(三陸沖のサンマ、大間の本マグロ、近海のサワラ、金華山沖のサバなど)をつまみに、様々な話題で盛り上がった。
中でも、ヒトの嗅覚と認知というあたりで議論が沸騰し、個人個人による嗅覚の違いや、嗅覚刺激が無意識レベルでどのように判断に影響するか、などについての話が面白かった。
そういえば、元ボス中村先生が、うちのラボへのアクセスを探すのに、ラボのホームページにアクセスされて、そこからこの「仙台通信」を見つけられたとのことで、「よく書く暇がありますね」と言われたので、「たぶん活字中毒のようなものだと思います」とお答えした。
活字を読むのも書くのも根本的に好きで、一種addictiveなのだと思う。
本が好きなのは父親のDNAを受け継いでいるせいかもしれない。
彼は無類の本好きで、といっても私とはジャンルが異なるのだが、実家に行くと常に新しく図書館(歩いて数分)から借りてきた本が数冊転がっている。
来週は水曜日の朝9時から農学部キャンパスで生化学合同講義という大学院向けの講義が2コマ、さらに男女共同参画に関して職員向けにセミナーをしろ、という話になっていて、こちらは初めてのことで頭が痛い。
さらに次の週は東京で市民向けの脳科学シンポジウムでの講演があり、これからその準備に追われることになる。
さらに、論文のリバイスも2つ待ちかまえていて、ああ、やっぱり優雅とはほど遠い人生だ。やれやれ・・・