ネオテニー
2005年 09月 24日
台風も近づいているようで、せっかくの連休中日なのに冴えないお天気。
仙台には三越の支店の他に藤崎という地元オリジナルのデパートがある。
ちょっと買い物をしに婦人服売り場に寄ったら、店の奥に銀色に光るアイスクーラーがあり、シャンペンを振る舞っているのを目敏く見つけた。
じっと物欲しげに見ていたからだろうと思うが、「どうぞ良かったら・・・これからファッションショーが始まりますので・・・」と店員が愛想良く言ってくれたのを良いことに、本当は顧客限定であろうイベントに参加。
KENZOの秋冬コレクションのショー(ミニミニ版)だった。
モデルのお姉さんは、クールな黒髪の方と、スィートな茶髪の方と二人が交代交代で、ランウェイならぬ、ただ店の奥から出てきて脇に座っている私たちの前を、それでもしゃなりしゃなりと、あるいはくるっとターンを決めて歩く。
司会をしているのは本社から出張で来ていると思われるお兄さんで、周りがすべて女性であってもまったく動じる気配がない。
「この<ルック>は今年のKENZOの感じがよく表れています。云々」と説明するのだが、例によって、英語のLookではなく<ルック>の<ク>にアクセントが来るのが気になってしまう。
これって、さらに日本人が英語下手になる元ではないか・・・?
ええと、私の理解が正しければ、一応KENZO今年のコンセプトは「18世紀のイギリスの貴婦人がインドに行ってその美しい伝統的な文様に魅せられた」ということらしい。
つまり、ブリティッシュなジャガードとかツイードなどの素材、プラス、カシミール模様、ってことですね。
見ている人たちは(私以外)その店の馴染みの客らしく、店に対する忠誠心を示すためにちゃんとKENZOのアイテムを身につけておられる。
現在のデザイナーは2004年からAntonio Marrasとのこと。
なるほど、ちょっとSpanishな感じはそのせいね。
ハンガリーの結婚式で用いられるピンクッションにアイディアを得たという<ハッピーモチーフ>は、綿でちょっと膨らませたブローチなのだが、小学生の手芸のようだゾ、などと心の中でツッコミをいれる。
30分ほどで終わり、集まった20名くらいの客はその後、商品を手にとってああだこうだと始まったが、さてどのくらいの経済効果があるのだろうか?
私は1杯のシャンペンのみで失礼してしまった次第(ごめんなさい)。
さて、モデルといえば最近気になることがある。
これまで、トップモデルは若くても大人っぽい綺麗さだと思っていたのだが、ここ数年で非常に変わってきた。
例えば、今の一番人気の一人はジェマ・ウォードという16歳の少女だが、2004年のプラダのモデルを務めた際に「ドール顔」として大ブレイクし、現在ではシャネルを始めほとんどのコレクションに出ているらしい。
エルメスやブルガリの雑誌の広告で見たことがある人もいるのではないかと思う。
日本では「ロリコン」な傾向があるが、いわゆる「西洋人」は16歳でもかなりオトナ的だと思っていたら、世界的に「幼顔」を発掘する時代になったようだ。
そもそも、ヒトは霊長類より幼生化している。
ネオテニー(幼形成熟)は、もともとウーパールーパー(アホロートル)などが幼生の形態のまま生殖腺が成熟して生殖可能になる現象を指す。
ヒトがチンパンジーの子供に似ていることから、「人類ネオテニー説」を唱えたのはL. ボルグという人らしいが、確かに、生まれてすぐに自力で動くことはできないし、成熟するまでにも時間がかかる。
これは寿命が延びたからだという説もある。
フリーターやニートが増えていくというのも、さらにネオテニー化しつつあるということなのだろうか?