ライティングの筋トレ
2013年 06月 29日
本を読むのは「入力系」で、これは知識を得たり感性を研ぎ澄ますのに必要ですが、「出力系」は運動機能も使うので、<イメトレ=イメージ・トレーニング>だけでなく、<筋肉トレーニング=筋トレ>が必要です。
タイピングの速度を上げることができれば、時間当たりの作業効率が上がります。
誰でも「一日は24時間しかない」のですから、やりたいことがいろいろある方には、密度を上げるしかありません。
(あるいは、ミスを少なくする、というやり方もありえますね……)
さらに若い方々にお勧めするのは、「まるごと他の方の文章を書き写す」というトレーニングです。
これは、実際にどの芥川賞作家さんだったかの受賞インタビューか何かで昔読んだことがあり、なるほどな、と思いました。
文章を書き写すことによって、その作者の言葉遣い、句読点、リズム、間、などを「体得する」ことを目指すのです。
科学者を目指す方々は、小説ではなくて、論文を書き写すのがベストです。
さすがに、Cellのフルペーパーを書き写すのは大変かもしれませんが、Brief Correspondenceのような、1000〜1500 wordsくらいの文章を、1時間程度で一気にタイピングするのは、良い筋トレになります。
周りに人がいなければ、発音しながらタイプすると、音声の出力とそれを聞き取る聴覚の刺激により、さらに単語の記憶が強化されるでしょう。
科学的な文章の場合には、論理構成、つまりロジックが重要なのですが、リズムや接続詞等の使い方でその雰囲気を身体に叩きこむには、タイピングが一番です。
幸い、英語の文章をタイプする場合には、「漢字変換」が必要ないので、自分が打ったものをモニタ上で見て確認しなくてもできます。
ただし、その前提条件としては、ブラインド・タッチできるまで、タイピングを習得しておく必要があります。
キーボードを見ながらですと、お手本にする文章(モニタ上であれ、印刷したものであれ)に集中することが困難で、リズムを感じるところまでいかないかもしれません。
ミスタイプは多くの場合、打っていて手の感覚?で気づくので、直しながらタイプしますが、必要であれば後でまとめてスペルチェックをすればよいでしょう。
大事なのは「速さ」です。
なので、タイピングにおけるブラインド・タッチは、現代の仕事のスキルとして必須であり、できれば高校生くらいまでの間に習得しておくのが良いと個人的には思います。
「出力系」のために筋トレが必要なのは、スピーキングにおいてもそうなのですが、これについてはまた次回……。