イベント報告:The world needs science, science needs women

先日告知したイベントの報告です。
NPOイコールネット仙台さんが主催し、東北大学女性研究者育成支援推進室が協力した「理系女性の輝く未来〜その現状と課題〜」で、講演およびパネル討論のコーディネータを務めました。
講演内容は「今年は女子学生入学百周年」という前振りで始め(今年一杯、このバージョンです♪)、『リーン・イン』『理系女子的生き方のススメ』とともに『なぜ、理系に進む女性は少ないのか?』も紹介しつつ、「個々の能力が活かされるダイバーシティーのある世界へ!」というメッセージを、やはりちょうど今年が400周年という支倉常長ローマ法王謁見のために建造されたサン・ファン・バウティスタ号の復元した船の画像に「リケジョが未来を切り拓くッ!」という荒木飛呂彦せんせい風のタイトルを付けて発信し♫、最後に、8月8日の東北大学女子学生入学百周年記念シンポジウムのご案内で結びました。

パネル討論では、東北大学大学院生命科学研究科修士課程在学中に起業した大草芳江さんが自己紹介を兼ねて、過日TEDxTohokuで行ったプレゼンを行い、科学を介して「考える教育」を広めるいろいろな活動を紹介されました。
ちょうど先週に行われた「学都仙台・宮城サイエンス・デイ」は、最初にNPOのnatural scienceが40名を一部屋のセミナー室に集めて始まり、今や参加者7000名超えという成長ぶり。
「自分のやりたいことが無かったから自分で有限会社を作った」と淡々と話す大草さんは、「人生で影響を受けた方やメンターはどんな方ですか?」という質問に対して「とくにいません」というお答え。
きっと、あと何十年かしたら、博士課程に合格して、でも進学しなかった大草さんを快く送り出してくれた指導教授の先生の広い心に気づくときがくるのかもしれませんね。

次に自己紹介されたのは、東北大学サイエンス・エンジェルの一人、高根侑美さん。
現在、医学系研究科の博士課程3年生です。
高校当時、医学部進学希望であったところ、担任の先生の勧めもあって東北大学医学部保健学科放射線技術専攻に入学し、学部の3年生頃から医療画像による診断についての研究に興味を持ち始めて大学院に進学したということでした。
「これまでの人生で、生物学が専門だった高校の担任の先生にもっとも影響を受けました」という高根さんに、「現在、困っていること、もっとこうだったらいいな、ということは何でしょう?」と問いかけると、「周囲にはどうしても女性が少ないので、いろいろなことを相談する女性の先生がもっといたらいいなと思います。サイエンス・エンジェルの活動は、そういう意味で同じ女子大学院生と交流できるのが嬉しいです」と答えてくれました。

3人めの船津利佐さんは、上智大学のフランス語学科の卒業で、2つほど海外広報関係のお仕事をされたあと、日本ロレアル社に入社され、企業広報のお仕事に携わっておられます。
日本ロレアルはちょうど設立50周年とのことで、今年はことのほかお忙しいご様子でした。
企業の広報としては、トップ、研究所、ブランド、人事、戦略的プロジェクトなどを広めること、そして社会貢献事業も担当されておられます。
私が船津さんを存じ上げるようになったきっかけも、この「ロレアルーユネスコ女性科学者日本奨励賞」関係でした。
ちょうど、2011年には、東北大学サイエンス・エンジェル制度に特別賞を頂いたことは、何度か拙ブログでも紹介しています。

ロレアルグループは創業1909年で、現在は世界最大の化粧品会社となっていますが、従業員72600名のうち研究者が3800名いて、そのうち女性は55%ということでした。
日本ロレアルは2300名の従業員のうち、研究者が220名、女性は62%と、多数のリケジョが活躍されているようです。

元々、化粧品の購買対象が圧倒的に女性が多いという背景もあり、ロレアル本社はユネスコと連携して、1998年から「ロレアルーユネスコ女性科学賞」という賞を設立して、女性科学者の支援を行なって今年で15周年とのことです。
ちょうど今年、東大名誉教授の黒田玲子先生が、この賞を受賞する栄誉に輝きました。
船津さんからPowerPointのファイルをシェアするお許しを頂いたので、こちらに掲載しておきます。
イベント報告:The world needs science, science needs women_d0028322_2145843.jpg

ロレアル本社も日本ロレアルも、若手の女性に対する奨励賞の授与も行なっています。
拙ブログ:第7回ロレアルーユネスコ 女性科学者日本奨励賞
また、昨年からは「リケジョの日」を制定し、講談社Rikejoとの連携による活動も展開されています。
イベント報告:The world needs science, science needs women_d0028322_21165418.jpg

さらに、東北復興支援のプロジェクトとしては、バスで被災地を回ってヘアカットなどを行う「美容師の力プロジェクト」や、「石巻市HANA荘推進プロジェクト」などを行なっておられて、船津さんご自身も昨年はほぼ毎月、石巻を訪れておられたと知りました。
最後のメッセージスライドが素敵だったので、こちらに転載してシェアしたいと思います。
“世界は科学を必要とし、
科学は女性を必要としている”

“The World Needs Science,
Science Needs Women”


イベント終了後は、主催団体代表の宗片さんも交えてお茶を頂きながら、女性の力をもっと活かすにはどうしたら良いかについて話しました。

関連して、今朝の河北新報の記事に下記が掲載され、百周年記念シンポジウムの告知もして頂きました。
多数のご来場をお待ちしています。
河北新報ニュース:元祖リケジョ、資料公開へ 日本初の女子大学生・黒田チカ(2013年7月28日)
by osumi1128 | 2013-07-28 11:22 | ロールモデル

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