はじめての代替現実(SR)体験!
2013年 09月 17日
以前に脳カフェでもお世話になった脳科学者の藤井直敬さん(本学医学部出身)が、Substitutional Reality(SR)の体験装置を開発したことはFacebookなどで目にしており、いつか自分でも体験してみたいと思っていたのですが、ようやく念願叶いました。
東京出張に合わせて和光にある理研の脳科学センターの研究室にお邪魔して、真っ白な実験室(体験ルーム)に入り、インダストリアル・デザイナー山中俊治氏デザインのSR体験用ヘッドセット「エイリアン」の説明を受け、いざ装着!
近眼なので、眼鏡かけた上に被りました。
眼の幅もちゃんと合わせました♫
SRは日本語に直せば「代替現実」ということになるのですが、現状のヴァーチャル・リアリティ(仮想現実)とはやり方が異なります。
作り物のヴァーチャルな世界ではなく、もっと、自分の「実体験」に限りなく近い「現実」感を体験するので、いわば、どこからが「リアル」なのかが曖昧になっていく怖さ・面白さがありますね。
例えば、目の前にヘッドセットを介して見えている藤井さんは、「今、ここに」いる藤井さんなのか、1年前にビデオ撮影された藤井さんの像を見ているのか……。
(そのために、毎回、同じ衣装でデモンストレーションされています)
過去の藤井さんに話しかけられて、それに自然に返答している私は、外から見たら楽しげに独り言を喋っている不審な人間のようかもしれません。
何人も藤井さんや、研究員の脇坂さんが現れ交差するのは、確かに私が見ている像であり、体験なのですが、どれが「ホンモノ」なのか……。
そもそも「ホンモノ」とは何なのか……。
視野の中の右半分に過去が映され、左半分に現在が見えるようなセッティングでは、まるで仮想の世界と現実が交錯しているよう。
藤井さんはこのことを「お能の世界にも通じる」と表現されていました。
視覚と聴覚はSRに置き換えられるので、肩に触れるなどの触覚だけは、リアルなものとして信じられるのですが……。
こちら、もし一定の匂いなどを同時に嗅がせたりして、記憶を強化させたら、その匂いを嗅いだときに拡張記憶がよみがえる、なんてこともできそうですね……。
今回の体験は実は下準備という意味もあり。
今度10月12日(土)に東北大学106周年ホームカミングデーの仙台セミナーというイベントで、『ジョジョの奇妙な冒険』でも有名な荒木飛呂彦先生にご登壇頂くのですが、この天才的な創造・想像の世界で繰り広げられる「スタンド(幽波紋)」を、このようなSRや、拡張現実(AR)などで表現できないか、というアイディアから、藤井さんと、AR三兄弟長男の川田十夢さんにもご協力頂くことになっているのです。
ご来場の皆さんに楽しんで頂けるイベントになればと思っています。
帰りの新幹線では、藤井さんの近著『拡張する脳』(新潮社)を読みました。
ちょうど前半にSR装置開発の意図やプロセスなどの説明が書かれています。
さらに、常々主張しているデータシェアリングのことなども……(下記参照)。
藤井さんとはSR体験の前に、かなり面白い話もできたので、こちらの書評と合わせて、また追って書きたいと思います。
(本の装丁もとってもお洒落!)
【関連リンク】
東北大学106周年ホームカミングデーの仙台セミナー
拙ブログ:第7回脳カフェ 杜の都で脳を語る 「脳・つながる・科学 ―いま、社会の中で―」 (最終脳カフェ!)
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