Society for Neuroscienceにみる学会の在り方

北米神経科学学会と訳されることが多いSfNですが、米国のための学会とは謳っておらず、会員数4万2千人のうちの42%が現在、non-USメンバーです。
全体の会員数の伸びが止まりつつある中で、non-USメンバーはずっと微増していることから、今後もどのように海外からの年会参加者や会員を増やすかについては重要事項と思われています。
今回の参加はInternational Affair Committeeメンバーとしてという意味もあって、最新の情報収集以外にそういう目で眺めて参考になることがいろいろとありました。

大会の全体プログラムの冒頭頁には以下の文章が掲げられています。
SfN’s annual meeting is the premier event in the field, serving as the ideal venue for emerging neuroscience and a forum for fostering collaboration worldwide. Over the next five days, you’ll discover cutting-edge science and state-of-the art products and services, as well as form professional connections that will benefit you throughout your career.


このようなモットーを支えているのは、約100名ものSfN Office Staffです。
つまり、かつて学会が「研究者の、研究者による、研究者のための」ものだった時代から、「研究に直接的・間接的に関わる人々の、研究者と研究者以外の人たちによる、研究活動を行う人たちや研究と社会に関わるすべての人たちのためのもの」という方向に拡大してきた結果がSfNという組織と言えます。

これは、研究を行うために必要な研究資金を得るためのアドボカシー、市民の理解増進、研究を支える次世代の教育やキャリア・ディベロップメントなどの活動が、研究そのものと同様に重要視されてきたからにほかなりません。
例えば、寄付をした方の名前が冠となった学術賞に並んで、Award for Education in Neuroscienceという賞もあります。
ABC順に並べたからということもありますが、プログラム・ブックの一番最初に出てくるので目立ちますね。
あるいは、Professional Development, Advocacy, and Networking Resourcesに関係するワークショップ等は5日間で30以上開催されており、アカデミア、ノンアカデミアそれぞれでのキャリア・ディベロップメントためのワークショップ、「Policy implications for the science of aging and end of life」というような施策関係のフォーラム、「Teaching Neuroscience: Is the printed textbook obsolete?」というようなセッションもあります。
今回は時間がconflictしていて参加できませんでしたが、「Women in neuroscience luncheon」という男女共同参画関係のsocialも毎年開催されています。
上述したIAC関係では「Making the most of your international training」というセッションが開催されており、次年度以降、企画に関わる予定です。

参加費にはさまざまなグレードがあり、Memberのonline discount rateは$335とそれなりに高いですが、国によっては$130です。
Non-scientific guestの参加費はたった$45(online discount)ですが、もっとも高いのは、Nonmemberの当日参加費$720です。
年会には約3万人が参加するので、参加費関係だけでも1億円近い収入となるのでしょうか(実際は、ものすごくたくさんの企業展示があるので、全体の収入は見当もつきません……)。
これに加えて年会費が4万人分ある訳です。

今年は初めてPresidential Receptionに参加してきました。
毎年、それぞれの土地で面白い場所を会場にして開催されるとのことですが、今年はSea Worldという世界に名だたる水族館でした。
もっとも夜8時から始まったので、観ることができたのはペンギンくらいでしたが……。
開会の挨拶もお祝いのスピーチもまったく無く、生演奏の音楽がずっとかかっていて、ひとしきり飲んで食べた方々がバンドの前でダンスを始める……典型的なアメリカ風のレセプションでした。
今期、会長がLarry Swansonからコロンビア大学のCarol Masonに代わったので、Carolにご挨拶できました。
「Presidentおめでとうございます! IACのメンバーになったのでよろしくお願いします。キャリア・ディベロップメント関係でメンターとしてのインタビューがしたいという連絡を受けたので、今朝、ヴィデオ撮りしてもらって来ました……」と伝えると、「あぁ、それは私のアイディアなんです!」と話しておられました。
やっぱり「人を育てる」ことを基本に置かれる方なのだなと思いました。
そのインタビューに関しては英語ブログの方をご笑覧下さい。

SfNのPresidentは1年の任期で交替しますが、President-Electとして1年、前任者とオーバーラップし、さらにPast Presidentもサポートする体制のようです。
一方、Executive DirectorのMarty Saggeseはもう何年も同じですね。
このあたりのしっかりした体制というのも、今後の学会の在り方として学ぶべきかもしれません。

ではこれからサンフランシスコを発って帰国します。http://www.sfn.org/news-and-calendar/news-and-calendar/news/spotlight/mfp-neuroscience-2013-offers-great-opportunities

【関連リンク】
SfN website
Larry Swansonの2013年のメッセージ:The Value of SfN in Difficult Times
Neuroscience 2013 Offers Great Opportunities for Advancing Science and Careers
Carol Masonが時期SfN会長に選出されたことを報道するコロンビア大学の広報誌(大学広報としても参考になります)
SfN Voluntary Leadership(学会活動というのはボランティア精神で行うということですね)
SfN Staff List(こちらは100%エフォートの方々のうち主要な方のみのお名前、各種専門部署に分かれていることに注目)
by osumi1128 | 2013-11-14 10:18 | 科学 コミュニケーション

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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