『もっとよくわかる! 脳神経科学』は挿絵も工藤先生だった!
2013年 12月 25日

羊土社さん経由で書評が載ることになっていますが、その前にこちらにも別バージョンを掲載しておきます。
赤い帯(この表紙画像には載っていませんが……)にどのように書いてあるかというと……
やっぱり脳はスゴい!
研究の歴史や発見の敬意から解説
→複雑なしくみ・混乱しがちな機能も
驚くほどわかる!
著者描きおろしイラストに導かれて、
脳研究の魅力を大発見!
科学者としては、ちょっと引き気味になってしまうくらい煽る宣伝文句なのですがww、実はこれが本当なのです!
その理由の一番は、工藤先生ご自身が挿絵を描かれているからなのではないかと思います。
やっぱり自分の頭の中にあるアイディアを具現化するのには、本人が一番(←画才があれば)ということなのかと思い至りました。
私自身が一般向けに脳のお話をするときに、いくつかのパターンを使っていますが、そのうちの一つが、脳について古代の人々がどんな風に考えてきたか、という「歴史」から入るパターンです。
本書も、紀元前3000〜2500年代にエジプトで書かれたという巻物に、脳損傷を負った兵士の感覚・運動障害についてというエピソードから始まります。
本書ではその後、ヒポクラテス、アリストテレスのギリシア時代、ルネッサンスを経て、近代の実証的な脳神経科学へと導入されます。
一言付け加えるとしたら、日本語には「腹を割って話す」「腹黒い」「腹の底ではどうか」など、下部消化管にある種の精神・情動の座を直感的に感じるというのも、脳腸相関の研究成果(例えば、本学医学系研究科の福土審先生のものなど)を考えると、けっこう大事なのではと思ったりします。
最近とくに感じるのですが、脳神経科学(あるいは、他の生命科学も同様かもしれませんが)は、天文学・物理学に比して約300年くらい遅れを取って近代化されてきたと思いますが、ようやく、コンピュータを含む機器の性能が良くなったり、数学や情報科学の進歩が取り入れられる時代になってきて、「群盲像を撫でる」状態から画期的に飛躍できるのではないかと夢想します。
なので、今の若い方々が脳神経科学(他の生命科学でも)にチャレンジすれば、その中にはコペルニクスやニュートンに相当する人たちも出てくるのではないかと思うのです!
そういう意味で、本書は脳神経科学分野においてお勧めの入門書の1つです。
もっと専門的な本にチャレンジされたい方は、来年4月に刊行予定の『カンデル神経科学』をお読み下さい♬
もう一度リンク先:『もっとよくわかる! 脳神経科学』