杜の都女性研究者ジャンプアップ事業 for 2013総括シンポジウム

昨日は仙台では朝また雪がちらついていて、本当に春を待つ気持が強くなる時期ですね。
そんな中、今年度まで5年間、文科省のご支援により行ってきた「女性研究者育成支援促進プログラム」である「杜の都女性研究者ジャンプアップ事業 for 2013」の総括シンポジウムが開催されました。
(追って画像をアップします)

植木理事の開会のご挨拶の後、ご来賓として、文科省の科学技術・学術政策局人材政策課人材政策推進室長の和田勝行様から、文科省の施策や動向含めてのご挨拶・プレゼンがありました。
続いて、同じく女性研究者育成支援事業を積極的に展開されてきた北海道大学の有賀早苗先生からも応援メッセージがありました。
北大の女性研究者育成支援推進室のキャッチフレーズは「Rain or shine, make your way with our support」というもので、傘をさして長靴を履いた女性がロゴマークのデザインになっています。
これは、「傘や長靴は貸してあげるから、自分で自分の道を歩いて下さいね」というメッセージとのこと。

その後、東北大学のこの5年間の取り組みについて、養成支援班、世界トップクラスリーダー養成班、新ネットワーク創生班、研究スタイル確立支援班からと、田中真美先生からの総括と展望について報告がありました。
東北大学では原則として「女性枠」を設けることなく人事を行って来ましたが、5年間で50名の女性教員が新しく採用されました。
ただし、転出した方も19名なので、増加分は31名。
東北大学外でのプロモーションなどもありますが、この理由についても今後精査することにより、さらにどのような支援が必要なのかを明らかにしたいと考えます。
効果的であったと考える制度としては「澤柳フェロー・部局メンター」という複数メンター制度です。
「門戸開放」の理念を打ち出した初代総長の澤柳政太郎先生のお名前を冠した「澤柳フェロー」は、折々のランチミーティングなどに出席して、若手女性教員のロールモデルとしてメンタリングの役目を果たし、さらに部局長など(ほぼ男性)もメンターすることにより、女性研究者育成の視点を持って頂く効果などがあったと思われます。

その後、スキルアップ支援により、国際会議出張などを行った2名の方と、新規採用から4名の方に研究紹介・支援の紹介を頂きました。
1名の方は「子どもの調子が悪かったので連れて来ました。すみません」と仰って、小さなお嬢さんと一緒に登壇されていました。
研究発表はそれぞれとても力強く、総合大学として多様な女性研究者が活躍していることが「見える化」されていると思います。

東北大学のこの10年間の男女共同参画という、より広い視点で振り返ると、
1)歴史の共有:日本発の女子大生入学
2)全学推進体制:総長以下、担当理事、担当総長特別補佐、委員会と推進室、それらを支える事務系職員の方々
3)ボランティア精神:男性も含めての応援マインドの醸成
というような点が成功のポイントだったのではないかと考えます。
また、最先端次世代研究開発支援プログラムに8名の女性が採択されるなど、それぞれの分野で活躍する女性研究者が東北大学に在籍すること自体が、その実力を表すものと思われます。
昨年、IUPACのWomen of Chemistry and Chemical Sciencesを栗原和枝先生が受賞されたことも喜ばしいことでしたし、育成支援推進室副室長であり、WPI-AIMRの機構長である小谷元子先生は、4月からは総合科学技術会議の非常勤議員にもなり、中央の意思決定機関において参画されることになっています。

来年度からは、これまでの研究補助者の支援では「理・工・農」という縛りがありましたが、それを自然科学系の部局に拡大したり、ベビーシッター経費を男性にも拡大するなど、東北大学独自の予算で新しい「東北大学男女共同参画推進センター」という体制のもとに進めていきます。
それにともない、MORIHIMEのホームページもリニューアルする予定です。



by osumi1128 | 2014-03-07 13:18 | 東北大学

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