先週、米国東海岸に出張しました。
まず最初の用務は、北米神経科学(通称SfN)の国際委員会(IAC)出席です。
ワシントンDCのレーガン空港からはタクシーで(空いていれば)15分程度のダウンタウンは14番通りという目抜き通りのビルに会員数3万人のSfNのヘッドクォーターがあります。
廊下にはSfNのミッションを表すポスターが。
Scientific Research
Professional Development
Public Outreach
Science Advocacy
これらの活動を支えているのは約80名ほどのスタッフ。
学位を持っている方、ポスドク経験者から、web関係の専門家、寄付を集める財務担当者、それらを支える事務系職員など、多様な人材が集まっています。
IACの会議でも、研究者の委員が8名くらいで、スタッフの参加は6名くらいだったかと思います。
研究者の意見を聞きながら、実際の活動はスタッフの方々が行っていきます。
国際委員会の任務は、他の国際的な神経科学関係学会(欧州神経科学学会FENS、国際脳科学連合IBRO)や日本神経科学学会との間で行われている若手のトラベル・アワードの方針決定や応募者の審査がひとつ、もう一つは国際的な観点からのキャリア・ディベロップメントです。
現在、SfNにはnon-US(米国以外)の会員がなんと40%もいるので(その中で最大派閥がなんと日本人で3000人も会員となっています)、キャリア形成のアドバイスもそれぞれの出身国の事情等も考慮すべきということになりつつあり、国際委員会の所掌事項が増えたようです。
ランチタイムに事務局長のマーティンが、初めてこのオフィスを訪れたメンバーにツアーをガイドして下さいました。
まず、このビル自体が環境に配慮したものとなっていて、SfNのオフィスも、使う内装材などがリサイクルのものだったり……というのをかなり長々と聞かされました。
次の見どころは、階段の一面に飾られたレリーフなのですが、これがなんと、カハールの有名なスケッチを元に、3Dプリンタで凹凸を出したパネル。
近所の芸術系大学学生の卒業制作だそうです。
じゃぁ、1906年にカハールとノーベル賞同時受賞となったゴルジ先生のものは?というと、こちらのスケッチが(壁面に比べるとちょっと小さめww)。
階段の下の方の文字が浮かび上がっているのもカッコいい。
もっとも大きな文字がBrainなのですが(ちょっと人に隠れています)、文字の大きさはおよそ、学会誌であるJ Neurosciに出てくる文字の数に比例しているとか。
日本で会員数だけなら同じ規模の学会はあると思いますが、きっと運営体制やオフィスはこんな感じではないのでしょうね……。
何でも米国がいちばんとは思いませんが、学会のあり方としてとても参考になりました。
(次はボストン訪問)