マイナス x マイナス = プラス
2014年 05月 25日
本日は、今年度初めての澤柳フェロー・ランチ・ミーティングにお集まり頂き、ありがとうございました。今年度からは支援の組織が発展的に「東北大学男女共同参画推進センター」になり喜ばしいことと思います。定期的にこのようなミーティングを開催し、女性研究者の方々の交流を図って頂いたり、タイミングによっては「研究費獲得スキルアップセミナー」なども開催されると思いますので、ふるってご参加下さい。
ところで、この場を借りてご紹介したいエピソードがあります。本日お集まりの方の中には、仕事上のお名前が戸籍名とは異なる方もおられると思います。2001年より、国立大学では就業時の「通称使用」が認められているのですが、ごく最近、私の友人の女性から、文科省提出書類上で戸籍名を使わなければならない場合があることを指摘されました。実際、文科省関係の学術賞などにおいても、その賞状に記載される名前、つまり新聞報道等で発表される名前が「戸籍名」であることは、本センターの副センター長でもある、医工学研究科教授の田中真美先生(本日はご欠席ですが)の科学技術に関する文科大臣表彰の際にも耳にしました。
また、通称を「ハイフン付き姓」にしたりすると、ややこしいことになります。研究者にとっては論文業績はとても大事なことですが、私自身がかつて使っていた名前の「Osumi-Yamashita, N.」さんは、現在の「Osumi, N.」さんとは別人としてPubMedという業績検索ソフトで扱われてしまいます。また、新聞報道などに名前が載るというときには「どちらかの姓にして下さい」と言われます。おかしなことですが、外国人の姓が含まれる場合は良いので、有名な女子テニス選手「クルム伊達公子」はOK。「橘フクシマ咲江」(G&S Global Advisors代表取締役社長)氏は、ご主人が確か日系二世の方なので、このようなお名前で文科省の委員会名簿にもお名前が載っています(戸籍名については存じ上げません)。
ともあれ、こういう小さなことも少しずつ改善されるようになると良いですね。そのためには、皆さん一人ひとりの小さなアクションが大切です。東北大学の男女共同参画推進センターも、これまでの女性研究者育成支援室の活動をさらに広げていけるようにしたいと思います。また、皆さんにおかれましては、このような活動の場を有効に利用して頂いて、人脈を広げ、ネットワーキングして下さい。
……先日も、国際会議でロシアに行ったときに、懇親会で女性研究者の話題になりました。◯☓国(聞き損ねましたが、いわゆる開発途上国だったと思います)から来られた女性研究者が「私はとてもマイノリティーなのです」と言われて、「でも、マイナスかけるマイナスはプラスですよ!」とお話したら、「Oh! 今回の学会参加でもっとも嬉しい言葉を聞きました。ありがとう!」と言われました。
女性が科学の仕事を続けることは、現時点で男性よりもたいへんなことがあるかもしれませんが、これでも、前の世代の女性研究者よりはベターになってきています。何ごとも考え方ですから、前向きに行きましょう!