過日、東北大学をご訪問下さったオリヴァー・スミティーズ(以下OS)先生に、東北大学サイエンス・エンジェル(以下SA)がお尋ねしました。
SA:どうしたら素晴らしいアイディアがひらめくのですか?
OS:それはね、とにかくよく眠ることだよ! 昼間、いろいろな経験をするよね。眠っている間に、脳の中でそれらがとても面白い結びつき方をするんだ。起きている間には思ってもみなかったようなこと同士がくっつくと、魅力的な仮説が出来上がっていたりするね。起きたらすぐに書き留めたりしないと忘れてしまうけど……。とにかく、ただ長時間働いて疲れてしまったら、けっして良いアイディアなんて出ないよ。
奥様の前田信代先生(NM)が補足されます。
NM:人に話すっていうのも大事じゃないかしら?
OS:そうだね、君にいろいろと話している間に、間違っていることに気づいたり、さらに面白いことがわかったりするね。
なるほど、スミティーズ先生が2007年のノーベル生理学医学賞に繋がる研究成果を上げられた背景には、「よく眠り、よく話す」ということがあったのですね……。身近にご自身も研究者である奥様がいらしたことを心から感謝している様子が感じられる、優しさ溢れるスミティーズ先生でした。ご訪問ありがとうございました!
【大隅補足】
私自身、「ひらめき」は圧倒的に朝目が覚めてまだぼうっとしているときに感じます。文章を書いていて神が降臨するのは夜中だったりもするのですが。「ひらめき」が生まれる前提としては、結び付けられるべき「記憶」が脳の中に残っていないといけません。何も無い脳の中に「ひらめき」は生まれません。記憶をしっかりと定着させて、面白い結びつきを生じさせるためには「タグ(ラベル)」が必要だと思っています。つまり、記憶に「タグ」を付けるのです。いつ、どこで、誰とした会話なのか、誰がセミナーで話したのか、どのジャーナルに書いてあったのか、そういうことを無意識レベルでもタグ付けできるかどうかが、ひらめきの前提にあるように思います。セミナーのときに、私はかなりメモを取る方なのですが、その場合には、PCにタイプするよりも、MOLESKINEの方眼ノート(スクエア)にLAMYのカートリッジ万年筆でアナログに記録します。絵やグラフも簡単に描けますし、関連付けられる情報に→を引くのも簡単です。そうやっていろんなタグが付く気がするからです。あと、そのノートを折に触れ見なおして、さらに4色ボールペンでさらに思ったことなど書き留めます。必要に応じて、ノートの頁をiPhoneで撮影してEvernoteに放り込んでおいたりもします。