春の行楽シーズンまっさかりの京都で開催された
第112回内科学会総会・講演会の男女共同参画企画公開シンポジウム「やりがいのある未来を拓くチャレンジとは?」で基調講演を行いました。
今回のタイトルは「無意識のジェンダー・バイアスに気付くこと」というタイトルにして、具体的にどのようなバイアスがあるのか、そのことがどんな風に劣性のスティグマを与えるのかなどについて、拙翻訳本
『なぜ、理系に進む女性は少ないのか?』や、同じ時期に上梓された
『リーン・イン』などからの事例も挙げつつ指摘し、東北大学の取り組みについてご紹介しました。
それはともかく、他に登壇された方に、埼玉医科大学教授の名越澄子先生、東北大学教授の清元秀泰先生(本願寺参与でもあり)だけでなく、ベネッセ・コーポレーションの取締役・人財部長の村上久乃さん、映画監督の
三島有紀子さんなどもおられ、異業種の方とご一緒する貴重な機会でした。お声がけ頂いた京都大学教授の
柳田素子先生、ありがとうございました。
ベネッセさんはすでに女性管理職30%に達しているとのことですが、「でも、まだ50%ではないのです」ということで、さらに人財を活かす工夫をされているとのこと。そもそもの女性活用も、「もともとベンチャーでしたから、優秀な男性は皆、一流企業と言われるところに取られてしまうので、男性であれ女性であれ、良い方に活躍してもらう必要があった」からとのこと。そう、女性が10%しか参画できないということは、40%も失われる人財があるということですね。
三島さんは高校時代から映画を撮り始めて、好きなことに近いことを職業にできたらという思いでNHKに入局。Nスペや「トップランナー」のディレクターも務めた後、映画監督として独立された方。この春は、人気漫画アニメをベースにした『
繕い裁つ人』が公開されています。
今日のお話の中には、実はお父様がオーダーのスーツしか持っていない方で、昨今の「ファスト・ファッション」と真逆の価値観を伝えてみたいということがきかっけになっていたというエピソードが披露されました。そんな「伝えたいこと」の上に、漫画のストーリーという枠組みを見出し、それぞれの人物像には、また新たに三島さんの考えるキャラクターが埋め込まれていき、例えばヒロインなら中谷美紀さんが実際に演じることにより動き出して映画になる……というようなことを、打合せのときに伺いました。映画でも何でも「メイキング」が大好きなので、こういうお話はワクワクしました。
そういえば、女性の映画監督の方、増えてますね。
松井久子さんあたりが先駆者でしょうか?
河瀨直美さんはカンヌ映画祭で賞も取られました。ドキュメンタリ−では
佐々木芽生さんなども。確実に良いロールモデルが出てきて、さらに後に続く方が生まれてきているのだと思います。講演でも話しましたが、「ロールモデル」が「見える化」することはとても大事だと思います。
映画監督は、男性が8割9割の、50人くらいの撮影部隊を率いるリーダーです。男性が多いのは、やはりロケなど体力が必要な職業であるからですが、三島さんは、「適材適所、相手の得意そうなところを見極めて配置を考えたりします」と言われていました。女性であれ、男性であれ、リーダーとして大切な資質だと思いました。
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今、映画情報をチェックしましたら、仙台での上映は朝9:35から1回のみで、18日で終了!(泣)これはDVDを待つしかないでしょうか……。