第88回内分泌学会学術総会シンポジウムほか

昨日は第88回内分泌学会学術総会シンポジウムの座長と特別ランチョンセミナー講演にお呼ばれ頂きました。会長の伊藤裕先生@慶応大学医学部の熱い思いが随所に溢れ、ユニークな企画が満載の学会でした。

その特別シンポジウムは「現代科学における異脳たち」という副題が付いていて、以下の方々がご登壇。
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阪大の浅田先生のマシンガントークに始まり、ユーザ・インターフェース開発の五十嵐先生の開発アプリケーションのデモも面白く、東大に戻られた上田泰己さんのマウス脳や全身まるごと透明化のお話は、今後の展開がとても楽しみ。トリを務められた川渕先生は医療経済学のお立場からのご講演。拙い座長は後半2題の演者ご紹介をさせて頂き、シメはフロアにいらっしゃった井村裕夫先生を見つけて、こちらからご指名してまとめ的なご発言を頂くことができました。

浅田稔先生@阪大
五十嵐健夫先生@東大
上田泰己先生@東大
川渕孝一@東京医科歯科大

研究には、メカニズムの理解のための「Why」の研究と、応用のための「How」の研究があると思います。五十嵐先生の研究は、「どうやったら種々のインターフェースの使い勝手を良く出来るか?」という目的を持つ、典型的な「How」の研究だと思います。上田先生も、最終的には「生物の中でなぜ<時間>に応じた現象が生じるのか?」という「Why」の研究を目指していると思いますが、今回のご紹介の中心は、昨年2本のCell誌論文として出された「組織をまるごと透明化」する技術についてだったので、どちらかというと「How」が中心。浅田先生の広範なお話には、ロボカップのように「どうやったらFIFAで人間チームに勝てるロボットを創れるか?」や、そのために「ロボットに自主学習させるにはどうしたらよいか?」という「How」のプロジェクトと、そのことによって、「なぜ子どもは自然に学習できるのか?」というような「Why」のテーマも含まれているように思いました。

現在、自閉症の病態発症の分子レベルの理解を多面的なアプローチで進めようとしているところであり、浅田先生の研究プロジェクトの中で、胎児の動きをシミュレーションしていたものに興味をそそられました。自閉症研究というとすぐに「社会性」という話になりますが、感覚運動系の連合具合などはもっと注目されて良い神経基盤なのではないかと考えます。




by osumi1128 | 2015-04-25 12:44 | サイエンス

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