文科省の支援による「
世界トップレベル研究拠点プログラム World Premier International Research Center Initiative (WPI)」という制度があり、東北大学では数学科の小谷元子先生が拠点長を務める
原子分子材料科学研究所(AIMR)が設置されています。このたび、同じくWPIの1つである
国際統合睡眠科学研究所(IIIS)@筑波大学に行ってきました。
オレキシンの発見で有名な柳沢正志先生をテキサス大学から母校に呼び戻すことにより創られたIIIS(トリプル・アイ・エスと発音)は、現時点でPIメンバーはジョイント・アポイントメント(兼任)の方を含めて20名。約3割の方が外国人。生き物にとって根源的な「睡眠」の仕組みを、種々の角度から研究する研究者が集まることにより、さらなるブレイク・スルーを目指そうとしています。
睡眠の仕組みが分かれば、タイム・シフトで働く方々の健康を保ったり、時差ボケを解消する画期的な薬剤を開発したり、睡眠障害を伴う精神疾患の治療に役立つなど、さまざまな応用が考えられます。他の代謝疾患との関連もあります。IIISを率いる
柳沢先生のところでは、多数のマウスをスクリーニングすることにより、睡眠異常を示す系統を分離して、その責任遺伝子の同定を進めています。SleeplessやDreamlessといった変異体のネーミングも素敵です。
竣工間近の新しい建物は、周囲の緑を借景に取り込み、デスク・スペースが開放的で人びとがインタラクティブに働けるような工夫が随所に見られました。建物を貫く螺旋階段も、デザインのポイントでありつつ、交流を増やし、さらにエクササイズを促す効果もありそうです。また、筑波大学にはアート系の学部があるので、種々の作品も建物の中に設置される予定とのこと。素敵な融合ですね。
建築家の隈研吾氏は「建築欲は人生で最後の欲」と書いていましたが(すみません、どの本だったか、手元に無いので不明……)、確かにこの歳になるとその言葉の意味がわかるような気がします。8000平米もの建物の建築に関わることができるのは、人生で何度もある訳ではありません。
建物は建てたらおしまいではなく、その中で人びとが生活して、初めて命が吹き込まれるのだと思います。そういう意味においては、建物自体も生き物かもしれません。
オープニング・セレモニーは9月とのこと。楽しみです。あいにく、
東北大学知のフォーラム脳科学の国際シンポジウムが重なっていて参加できませんが、盛会をお祈りしています。