公開シンポジウムは本当にアウトリーチになっているか?

5号館のつぶやきさんがブログは研究活動のアウトリーチには向いていないというエントリーをされています。
ちょっと関連して本日(日付の上では昨日)の公開シンポジウムのことを書きたいと思います。

このシンポジウムはJSTの支援による研究費「脳の機能発達と学習メカニズムの解明」の成果の発信という目的で開催されました(プログラム参照)。
平成15年度および16年度に採択された課題の研究代表者が、それぞれ25分発表し、5分の質疑応答時間を設けるというスケジュールでした。

事前にJSTの方から「分かり易い発表を心がけて下さい!」というお達しが複数回届いていただけのことはあり、どの発表者もかなり気を遣い、気合いを入れたスライドを用意されていました。

なお、本筋から逸れますが、私自身の発表は今日はSABCのB評価。事前の準備は良かったと思うのですが、「25分の持ち時間を延長しないように!」と座長の先生からも言われ、最後で少し駆け足になってしまったことと、最近気に入っている「リモート送り+緑のレーザポインタ(色覚異常者にも優しい)」を用いたのですが、まだ慣れていなくて、レーザポインタを使った後に、<送り>ではなく間違えて<戻り>のボタンを押してしまい、いろいろアニメーションを入れていると、かえってやっかいなことになってしまった、という点がマイナスポイント。もう一つ、「学習」というキーワードの強調の仕方が足りなかったのも反省点。まあ、それでも午後の休憩時間に質問しにきて下さる方がおられたり、懇親会で聞いて下さったりしたので、ちょっと安心しました。

さて、問題だと思った点は、600人くらいの申込者がいて、たぶん500人くらいが実際に来たのだと思われますが、数十名は「プロの研究者」が聴衆にいらして、5分の質問時間はほとんどそういう方々しか質問されなかったということです。
これではアウトリーチになっていないと思います。
本来、プロの方は学会等に来て頂いて討論して頂きたいと思うのですが、また、そういうためならスライドの作り方も違うようになりますし、でも、だからといって、そういうプロを排除するというのもまた難しいでしょうね。

プロの方が口火を切って専門的な質問をされると、普通の人は気圧されて質問しにくいのではないでしょうか?
また、一部には「自分の知識をひけらかしたい」という意識があるのでは?と思わせるような、つまり、延々前置きを話されたり、あるいは「コメント」を述べられるなどのことがありました。

たしか、癌学会主催の市民講座では、予め聴衆に「質問状」を提出してもらって、座長がその中から適当と思われるものを代読し、演者に答えて頂くというような形式を取っていると聞いたことがありますが、これも一つのやり方でしょう。

「公開シンポジウム」というのは誰に対して行っているのかということを、質問されたプロの方々に少しだけ考えてほしかったなあと思いました。
by osumi1128 | 2005-11-20 02:23

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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