毎年、ノーベルウィークは、生理学医学賞の発表から始まります。今年は夕方に学内セミナーがあったので、リアルタイムで授賞のビデオを観ることができませんでしたが、セミナー終わってiPhoneを見てみると、
大村智先生が共同受賞とのニュースがポップアップしていました(画像はノーベル財団HPより取っています)。
直接は面識ありませんが、2億人もの人々を寄生虫病から救う薬を開発された方、という大村先生のお名前は各所で耳にしたことがありました。今回の共同受賞は3名で、ノーベル財団の発表順に言えば、共同研究者のWilliam C. Campbell博士と大村智博士が賞金の4分の1ずつを、そして、中国の女性研究者Youyou Tu氏が残りの2分の1を授与されるとのことです。
土壌微生物や植物から同定された化合物をもとに実用化された薬剤で、すでに多数の方々の寄生虫病やマラリアなどを治すことに成功している、という成果に今年のノーベル生理学医学賞が授与されたことには大きな意味がありますね。大村先生のキャリアの最初が定時制高校教諭、留学から帰国する頃からメルク社との大きな産学連携研究を進めた、というのも、美術に造詣が深く、美術館を故郷の韮崎市に寄贈したなども興味深いですが、Tu氏の授賞も、中国の女性で博士号は持っていないという点できわめてユニークだと思いました。
本日お昼をタリーズで頂いたときに話題がノーベル賞のことになり、生命科学研究科のS先生が、「線虫コミュニティーはmicroRNAなど、誰か線虫の研究者が取ってくれないかなぁ、と話しているのですよね」と仰っていましたが、決定後にメールで伺ってみたところ、大村先生の抗寄生虫抗生物質イベルメクチンの決定は、線虫のイベルメクチン耐性変異体の解析により為された、とのことでした。なるほど。大村先生はもともとは、動物の寄生虫(線虫など)対策の薬物として開発されようとしたという経緯もあります。
とりあえず、目についた関係記事をクリップしておきます。
(これは来年の「大隅お勧め本」に入れなければ……)
【おまけ】
ちなみに、大村先生は北里大学薬学部教授でしたが、うちにも北里大学卒(ただし薬学ではない)の元学生さんがいます。あ、そうだ、かつて北里から卒研に来てくれた学生さんが、その後、修士になり、富山大学の井ノ口馨先生のところの技術員になったのでした。元ポスドクさんが現在、北里の医学部で助教をしています。……って書いてみると、よりノーベル賞を楽しめるかも。