この10年ほど、ほぼ毎年、北米神経科学学会(Society for Neuroscience, SfN)の年会に参加していますが、6年前のシカゴは不参加でした。飛行機の乗り換え地としては何度も通過していますが、今回、初めてシカゴ市内に降り立ちました。街の印象としては、ある種、「もっとも<アメリカ的>な都市」とでも言うべき雰囲気があります。道路の広さ、建物の大きさ、人的構成など。
だだっ広いポスター会場を歩きまわるので、普段より運動している気がします。そもそもこの学会に参加しようと思ったのは、神経発生分野から、精神疾患の動物モデルに研究フィールドを広げようと考えて、情報収集のためだったのですが、DevelopmentのカテゴリーのポスターはAで、精神疾患などはQQだったか何かで、とにかく会場の端から端まで走り回った(おっと、オヤジギャクになってしまった……ww)のですが、数年前から、CがDisorders of the Nervous Systemとなったので、少し距離が短くなりました。ポスターは午前午後張替えで土曜日午後から水曜日午後まで9セッションありますが、History, Teaching, Public Awareness, and Social Impacts in NeuroscienceというカテゴリーHのものは期間中ずっと掲示されます。このあたり、コミュニティを支える層の厚さを感じます。二次元に印刷したポスターだけでなく、Dynamic Poster Presentationという、大きなモニタで動画データなどを示すスタイルも、数年前から始まったプレゼンテーションです。
今回の学会参加のメインの目的は、Graduate Programs for Neuroscienceのブースを訪れて情報収集することでした。全米から数十のプログラムが参画していて、担当者が大学院進学希望の学生さんに説明するコーナーは賑わっていました。もちろん、超有名どころの大学院は、そのようなリクルート作戦を取らなくても良いのですが、そうでない大学院は、それぞれの特徴や利点などを説明するのに必死です。数年前には理化学研究所や沖縄科学技術大学院大学のブースもあったのですが、今年は出ていませんでした。米国以外では、フランスのブースと、NIH-UCLおよびNIH-Karolinska Instituteのプログラムが出ていました。どのプログラムでも大学院生には経済的な支援があります。米国であれば、最初の2年くらいがプログラムによる支援、その後は各研究室主催者もしくは大学院生が申請して得られる研究費やフェローシップでの支援が一般的と思います。日本のように、日本学生支援機構からの「ローン」(返済が必須)中心の体制では、今後、世界から優秀な人材を集めることは難しいように思います。