東北大学の女性研究者育成(まだまだ頑張らないとね……)

東北大学は開学の理念として「門戸開放」「研究第一」「実学尊重」を掲げ、1913年に日本で初めて、女子学生の入学を受け入れた……という台詞はスラスラと出てくるのですが、直近の女性研究者比率は頭打ちです。
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一番の理由は、東北大学は全体の80%くらいの教員がいわゆる「理系」であるため、「理系女子」の比率が変わらないことには、なかなか現状打破は難しい。しかも、平成26年度のデータで他大学と比べると、実はビリなんです……。
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ちなみに、名古屋大学さんは、森郁恵先生、鳥居啓子先生@ワシントン大学(兼務)、上川内あずさ先生……と生命科学系にピカピカのロールモデルがおられるだけでなく、各種の支援もあいまって女性比率もダントツです。

本学の第3期中期計画では、「女性研究者の対平成27年度比で50%以上の増員を目指した女性研究者支援の取組の加速化」と「女性教員比率を19%に引き上げることを目指した採用等の取組及び管理職等(課長補佐級以上)の女性職員比率を15%に引き上げることを目指した育成等の取組を強化する」ことが盛り込まれていますので、相当頑張らないと……。

構成員の多様性は組織の元気度に影響します。過日、アカデミー賞の候補者が白人ばかり……という話題がありましたが、こういうことは悪気はなくても容易に起こりえます。なぜなら、みな「自分の仲間」に対するシンパシーが高いからです。賞を選ぶ側の構成員が白人に偏っていると、ノミネートされる側にもバイアスがかかります……。そのあたりのことについては、上記の鳥居先生が最近、サイエンスポータルに書かれた記事にもありましたが、拙翻訳本『なぜ理系に進む女性は少ないのか』にもいくつかの事例とともに紹介されています。

……という訳で、来月は2つ学内の関連セミナー等に登壇します。そのうちの1つ多元物質研究所主催のものは、上記の森郁恵先生にご講演も頂きます。所長の村松淳司先生自らがパネルディスカッションのコーディネータ。生命科学研究科の杉本亜砂子先生も加えて、3名の女性研究者と村松所長、さてどんな展開になるか??? どうぞ奮ってご参加下さい。
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多元物質科学研究所男女共同参画イベント

女性研究者採用加速に向けたセミナー



 多元研における女性教員の比率はここ数年、1~3%という非常に低い状態であり、現在139人の多元研教職員の内、女性教員はわずか4名という状況である。多元研では、将来の女性研究者採用加速に向けた具体的な方策がないのが現状である。 この現状を踏まえ、今回、女性研究者採用を加速するにはとのようなシステムづくりが必要であるかについてのセミナーを開催することとした。本セミナーは男女共同参画という観点のみならず、トップマネージメントセミナーという位置付けとして開催したいと考えており、特に教授層にご参加いただきたいと考えている。

開催概要

開催日時:平成28年2月23日(火)15時より
開催場所:東北大学片平キャンパス 南総合研究棟2 大会議室

(第1部) 講演会
  「前例をつくり、道をつくる」(仮題)
  講師:森 郁恵 教授 (名古屋大学大学院 理学研究科 生命理学専攻 )
(第2部) パネルディスカッション ~女性教員採用に向けたシステムづくり~
  パネリスト:森 郁恵 教授 (名古屋大学大学院 理学研究科)
大隅 典子 教授 (東北大学医学研究科)
杉本 亜砂子 教授 (東北大学生命科学研究科)
  コーディネーター村松 淳司 教授 (東北大学多元研 研究所長)

連絡先
 永次 史 (東北大学 多元研)
 TEL&FAX: 022-(217)-5633
 e-mail: nagatugi@tagen.tohoku.ac.jp











【鳥居啓子先生が書かれた記事】
【関連拙ブログエントリー】




by osumi1128 | 2016-01-27 17:56 | 科学技術政策

大隅典子の個人ブログです。所属する組織の意見を代表するものではありません。


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