先週火曜日は
「グローバル・ヘルスR&Dと日本の未来」というセミナーに登壇しました。折しも新たに「ジカ熱」問題が浮上しつつあるタイミングで、微生物学分野の押谷仁先生のグローバル感染症対策についてのお話の後、自分のトークでは東北大学医学系研究科を中心としたグローバル化に向けた取組みについてご紹介しました。
医学部学生さんなども参加していたので、NPO法人
日本医療政策機構(HGPI)エグゼクティブ・ディレクターの宮田俊男先生のお話は刺激になったことでしょう。HGPIは日本学術会議会長も努められた黒川清先生が立ち上げられた医療政策のシンクタンクです。
宮田先生は、早稲田大学理工学部で人工心臓を作る研究をされた後に、大阪大学の医学部に入り直して心臓外科医となり、さらに厚労省の医系技官として国の政策に関わり、2013年からNPO法人を本務としつつ、内閣官房戦略推進補佐官や京都大学、大阪大学、東北大学で客員教授もされています(各種の立場の名刺の入った箱がインパクトありました……)。
冒頭のジカ熱のような新興再興感染症の問題は、「グローバル・ヘルス」としてわかりやすい事例だと思いますが、グローバル・ヘルスは「国際保健」という従来の日本語を超えた概念として捉えられることが多いと思います。地球上の格差問題をどのように捉えるか、開発と自然保護のトレードオフなど、いろいろな観点が考えられます。例えば、iPS細胞を用いた移植医療ができれば、患者さん自身の細胞を使えるので、組織適合性の問題は無くなります。しかしながら、このような医療は一人あたり数百万円のコストがかかる、「超贅沢」な医療となってしまいます。相当のコストダウンを検討していく必要があるでしょう。
思えば、昨年のノーベル生理学・医学賞の受賞対象はまさに、グローバル・ヘルスの考え方に基づいたものであったとも言えます。グローバル・ヘルスに関わる人々の多様性も、単なる「保健」ではない時代になっていることを認識させます。ちょうど、UCLAのグローバルヘルスについての会議のポスターデザインが象徴的でとてもわかりやすかったので載せておきます。
講演の後、短い時間ではありましたが、HGPIフェローの乗竹亮治氏をモデレータとしてパネル討論を行い、フロアからも質疑応答を受けました。このような分野に興味を持つ学生さんが増えてくれたらいいなと思いました。HGPIではインターンシップなども受け付けているそうです。
【参考リンク】