
「そうだ、<あとがきのあと>というタイトルで、あとがきに書ききれなかった思いをブログに書こう」と思っていたら、日経新聞の読書面の名前であることに気づいた。どうも、脳の襞のどこかに引っかかっていたようだ。
昨年の夏から執筆していた
『脳からみた自閉症』が、ようやく今月20日(前後)にブルーバックスさんから上梓される。たくさんの図も新たに描いて頂き、256ページもの充実した新書になった、と自負している。タイトルは『脳からみた……』となっているが、脳画像系の話だけではなく、「遺伝子からみた自閉症」の話も満載。また、遺伝子に不案内な読者のために、基本的な遺伝子の働き方に関する部分も盛り込んでおいた。
そんなこんなでボリュームが増えたところに加え、本書出版に至る動機や経緯を東日本大震災の頃から含めてあとがきで語っていたら、「あと3行削って下さい!」と編集の山岸氏からお達しが……。ということで、「あとがき」では触れることができなかったこととして真っ先に挙げたいのは、お世話になった方々それぞれのお名前なので、ここに記しておこう。
あとがきに載せた千葉大学の若林明雄先生、マウントサイナイ医科大学兼京都大学の櫻井武先生、東北大学の瀧靖之先生、石井正先生、長神風二先生の他に、画像のご提供などを頂いた、東大の岩坪威先生、岡部繁雄先生、理研脳センターの吉川武男先生、ありがとうございました。また、2015年の東北大学知のフォーラム脳科学の8月の国際シンポジウムで自閉症関連のお話を伺った国立精神神経医療研究センターの神尾陽子先生、自治医科大学の平井真洋先生には、種々の研究成果の一部を本書に盛り込ませて頂きました。長年にわたる共同研究者かつ高校の先輩である偉大な神経科学者の富山大学の井ノ口馨先生、Pax6との出会いに繋がったアステラス製薬の藤原道夫博士、初期の解析でお世話になった野地澄晴先生にも、心から感謝いたします。そして何より、日々、研究に邁進するラボメンバーの皆さん、本書を上梓することができたのは皆さんのおかげです。本当にありがとう。
ブルーバックスさんは、数ある新書の中では贅沢にも、それぞれの書籍ごとに表紙のデザインを作ってくださっていて(帯で隠れちゃうのにね)、今回、素敵な子どもたちのイラスト原画を描かれたのは
トヨクラタケルさんという方。面識は無いのだが、大好きな
有川浩さんの本の装丁にも関わっておられるようなので、めっちゃ嬉しい♫
本当は筆者としては、科学書籍なので、逐一、文献を引用しながら述べたかったのだが、「新書なので、スラスラ読めるように引用無しで」という編集部の方針があり、さらに上述のように紙幅の関係で末尾の参考文献リストも削らざるを得なかった。その分、引用した図の出典は著者名、雑誌名、発行年を記すこととした。もし将来に電子書籍化されるようなことがあれば、リストも載せたい所存だ。
自閉症研究は種々の側面からどんどん進んでいる。最先端の研究成果をより多く紹介したいと思いつつも、まだまだ方向の定まらない部分もあり、どの話題を本書に盛り込むかについて、自分なりのバイアスが生じたことはお許し頂きたい。
本書が多くの方々の手に届いたら嬉しい限りである。