国際生物学賞と東北大学百周年記念セミナー
2005年 12月 05日
国際生物学賞International Prize for Biologyは昭和天皇のご在位60周年を記念して創られた賞で、学術振興会が母体となっている。
第21回目となる今年は、シンガポール国籍でロックフェラー大学のNam-Hai Chua博士という方に与えられた。
ご業績をごくごくかいつまんでいうと、植物の形作りの分子生物学的研究ということになる。
昭和天皇は生物学者としても知られており、とくに系統分類という応用面からは一番遠い学問をご研究されていた。
皇族方が為される学問は応用的でない方がよいくらいであろう。
午前11時半からその授賞式が学士院で開催され、今上天皇皇后両陛下がご臨席された。
招待客は学士院関係を中心とし、私のような若造はほとんどいない。
この辺が知名度に関係するのかと思う。
残念ながら受賞パーティーには出席できず、タクシーに飛び乗って上野から大手町に向かう。
運転手さんが「今日は何だったのですか?」と問うので、「これこれの会で、両陛下がいらっしゃいました」と答えると、「ああ、それでこの道なりずっと警備されているのですね」と言われる。
確かに気づくと、耳にイヤホンを入れた制服や私服の警官が門かどに立っている。
「この道も普段は駐車している車も多いのですが、片付けられてますね。さらには、上野公園の浮浪者も一次退去させられているのですよ。」
人口の多い東京で陛下が移動されるというのは大変なことである。
さて、午後は大手町の日経ホールで第4回東北大学百周年記念セミナーが開催され、その司会とパネリストをした。
毎回会場の定員をはるかに上回る参加申し込みがあり、約600名の会場がほとんど満席。
今回は生命科学系の21世紀COEのプロジェクトに関わる人たちが発表の中心となったほか、東北大医学部出身で岐阜大学学長の黒木登志夫先生、パネルディスカッションでは学術会議会長の黒川清先生、JT生命誌館館長の中村桂子先生、文学研究科の清水哲郎先生、日経新聞編集局の中村雅美様(コーディネーター)、そして私が参加した。
開かれた大学を目指して、全国的にそれぞれがいろいろな取り組みを行っているところだと思うが、今回の記念セミナーに主催者側として参加した感想としては「オトナの学芸会のようなものだなあ…。」
高校では文化祭委員をしていたくらいで、イベントは嫌いではない方ではあるが、なんとなく斜に構えて眺めると、いい大人たちがボランティアで一生懸命学芸会をしているような観がある。
プロがすべてプロデュースしたらもっと違うのかなとも思うが、まあ、手作りは手作りの良さというものもあろう。
とにかく「そういう時代」に大学人として生きているということを改めて思った。
時間の関係でフロアとのディスカッションの時間は設けていないが、質問については後日ウェブにて回答されるということで、双方向性を目指している。
私はパネルで「高度化した生命科学の知識格差(ライフサイエンス・ディバイド)についての危惧と双方向性のコミュニケーションの重要性」を指摘したのだが、どんな質問やご意見が寄せられるか楽しみだ。
今日の話題で面白かったのは、中村桂子先生の言葉の「ヒトゲノム、ワタシゲノム」
ヒトゲノムが解読され、さらに疾患に関係するSNPsなどがどんどん分かるようになると、「ワタシのゲノム」が明らかになる。
「私のゲノムは、ヒトゲノムという普遍性をもったものであり、かつ、私という個性をも反映している」ということだ。
昔の「生物学」ではヒトはほとんど対象ではなく、「個」や「我」は哲学や文学の対象であったのが、生物学が「私」を扱うようになったということは、ライフサイエンスの進展による大きな変化であろう。














