医学部1年生相手の講義「医学研究紹介」を6月末に担当しています。正味45分程度しか使えないので、毎年、何を話題にするか悩みます。135名くらいの学生さん相手にあまり細かいデータを示しても、その価値まで理解してもらえるとは思えず、でも自分であれば「基礎研究も大事」とか「脳科学って面白い!」と思ってもらえたらいいなぁ……と欲張りたくなる訳です。
その「伝わるプレゼンテーション」の講義では、「PowerPoint(PPT)ファイルを立ち上げる前に、構想をノートに書いて・描いてみましょう」ということを、この数年、必ず言うようにしています。PPTというアプリケーションは(そこそこ)便利なので、つい、表紙から順に作っていきたくなるものですが、先に全体を見渡した方がバランスの良いプレゼンになると思います。Keynoteを使う場合でも同様です。
今朝、目が覚めたときに、思いついたアイディアをいくつか方眼ノート(
Moleskineを愛用♬)に描き出してみたのがこちら。

たぶん、他人が見ても何のことやら……だと思いますが、自分用のアイディアノートとしては、これで十分です。細部は脳の中にストアされていて、実際にプレゼン用のアプリケーションを立ち上げての作業で詰めていくので。
でもって、改めてこの図を見なおして、自分が「パターン思考」であることがよく表れていると認識しました。
一般的には、「言語優位な思考」と、それに対比される「視覚優位な思考」の2つに分類されると見なされることが多いかもしれませんが、グランディン博士はそれに加えて「パターン優位な思考」を挙げています。私自身、この本を読むまでは、なんてったってビジュアル系、つまり「視覚優位」だと思っていたのですが(←ここ、クスっと笑うところです、念のため)、一度見た絵画の記憶はしっかり残っていても、自分で描く方はまったく駄目で、組織学のスケッチは大の苦手でした。したがって感覚的には繊細でも、出力系が悪いためであろうと長らく思っていたのですが、そうではなくて、全体(視覚映像)の中に「パターン」を見出すことが得意、パターンとして記憶するという脳の使い方なのだとわかりました。
そういう意味で言えば、「パターン」を見出したり記憶するのは視覚的な入力だけでなく、音楽や電車の音、音声言語などの音刺激もパターン化して記憶しているような気がします。
方眼ノートを使うようになったのは、大学院時代に実験ノートで方眼のものを使うようになったのが最初ですが、モレスキンに出会うまでは、セミナー等のノートを取るのは普通の罫線のものでした。モレスキンには、ブランク(無地)、罫線に加えて方眼のノートがあります。この方眼ノートを使うと、メモを取るときに棒グラフや折れ線グラフなどが描きやすいということに気づいてから、もっぱら、「すべての手描きメモ」を中型のモレスキン方眼ノートに記しています。
今回のようなプレゼンのアイディアも、きっと人によっては罫線で文字として記した方が合っている方もいるでしょうし、無地のノートに自由に描きたい方もいるでしょう。パターン思考の方なら、方眼がお勧めです♬ もしかしたら、そういう「個性」に合った異なる需要が知られていて、モレスキンのノートの種類が決まっていたのかもしれません。
いずれにせよ、それぞれの方の脳の個性に合ったメモの取り方に出会えると良いですね。