スミティーズ先生&前田先生来訪とゲノム編集市民公開講座

昨日、東北大学のアドバイザーとして年に1度、本学に来られるオリヴァー・スミティーズ先生が、奥様の前田信代先生とともにラボを訪問して下さいました。2014年には、東北大学サイエンス・エンジェルとのセミナーをセッティングしましたが、今回、ご帰仙(前田先生は仙台ご出身)のことを知ったのがかなり直前だったために、大きなイベントを組むことができなかったので、ごく内輪の会となりました。
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ちょうど明日からの分子生物学会の発表を控えているメンバーもいたので、リハーサルを兼ねたラボ・ミーティングを午前中に行い、昼食時には大隅ゼミに参加している学生さんのうちの数名も参加。スミティーズ先生や前田先生と直接お話する機会となりました。

ご夫妻は、一乃庵さんの「暖かくなるお弁当」に興味津々。「これ、どういう化学反応なのですか?」などとご質問されましたが、酸化カルシウムと水の反応のようです。

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たくさんご質問を頂きながらの進行だったので、遅れに遅れ、午後の発表に回った大学院生さんのポスター発表では、一番突っ込みを入れて頂くことができて何よりでした。
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スミティーズ先生は、マリオ・カペッキ先生、マーティン・エバンス先生とともに、2007年にノーベル生理学・医学賞を受賞されています。その受賞テーマは「マウスの胚性幹細胞を用いた、特定の遺伝子を改変する原理の発見」です。

Chen-Stationの解説記事:2007年ノーベル医学・生理学賞発表(題字ママ)

スミティーズ先生がいわゆる「ノックアウト・マウス」の原理を思いついたのは、1980年代の終わりの頃のようですが、その最初の論文発表は1995年の奥様との共著論文(PNASのTwo-author paper)で、高血圧マウスモデルの論文が1996年のものだと思います(やはりPNAS)。今回のラボ・セミナーの間も、ときどきお二人で「いや、これはこう考えたらいいんじゃない?」などのやりとりが垣間見られて、こうやって数々の受賞に繋がる研究が為されて来たのだなぁと感じました。そういう意味では、元大学院生だった奥様が、研究者としては対等でありつつも、ノーベル賞受賞者にならなかったのは、ES細胞との抱き合わせだったり、3名までという縛りもあるからですね……。

生の声は以下のノーベル財団サイトから聴くことができます。

時代は移り、今やノックアウト・マウスを作製するなら、「ゲノム編集」で行うことにより、ずっと効率化することが可能となりました。遺伝子工学の時代から倫理的な課題として挙げられていた「デザイナーズベビー」のようなことも、SFレベルではない状況になっています。

今週、金曜日に、第39回日本分子生物学会(一條秀憲年会長)の市民公開講座として、「ゲノム編集は生命観を変えるか?」を主催します。興味のある方はぜひ、パシフィコ横浜にお越し下さい。





by osumi1128 | 2016-11-29 10:08 | 雑感

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