脳科学の未来:RIKEN脳科学総合研究センター20周年記念行事に参加した

理化学研究所脳科学総合研究センター(BSI)が設立20周年を迎えるにあたり、今年はいくつかの記念行事が開催されましたが、その最後となるシンポジウムの末席に登壇しました。会場内300名、ストリーミング配信での参加者450名とのこと。
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所用により、利根川先生のご講演の途中から聞かせて頂きましたが、1997年に初代所長の伊藤正男先生のご尽力により設立された通称「脳センター」は、この20年の間に世界的に認知される研究所になったと思います。画像は利根川先生の使われたスライドの一部ですが、世界の主要な脳科学の研究所と、その業績を研究室あたりの論文数として示しています。
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文字通りゼロからのスタートでここまで到達するのは、そんなに簡単なことではありません。著名な研究者をリクルートし、さらにリニューアルを繰り返して地位を向上させていくことには、大きな痛みも伴うものですし、研究者のみならず事務系の方々や広報室などのチームワークもきわめて重要と思います。同様に、少し遅れて作られた理研のCenter for Developmental Biology (CDB)も、その意味では大いに成功した例だと思います。

第二部では、米国からの帰国途中という山中伸弥先生をはじめ、6名の方の多様なご講演を楽しみました。とくに、高知工科大学の西條辰義先生のご講演は初めて伺うものでしたが、人間としての特徴は、相対性と社会性に加えて、近視性により資本主義と民主主義が進んだが、今後は「現在の自己に重きを置くバイアスを克服する自己制御メカニズム」が無いと、地球の将来は危ういというご指摘をされ、その面で脳科学は貢献できるのではないか、ということを話されました。もしかすると、ヒトは長谷川眞理子先生の言うところの「おばあさんシステム」によって進化できた面もあるので、「7代先の子孫」のことを考えることを、もっと習慣にできるのではないだろうか、などと考えながら拝聴しました。この課題は、もう少し吟味して、いつかまとまった文章にしたいと思います。

私自身、東北大学では医学系研究科附属創生応用医学研究センターの脳神経科学コアセンターや、国際共同大学院プログラムNeuro Globalの立ち上げなどに関わっているので、常に戒めようと思っていることですが、同じ分野の研究者同士が集まって「◯◯学は素晴らしい!」と自画自賛するだけでなく、どうやって社会の期待に答えていくか、より広い研究コミュニティの中でどのように認知され、さらに伍していくのかが問われていると考えられます。

ちなみに、講談社さんが書籍展示販売をして下さっていました。拙著『脳からみた自閉症 「障害」と「個性」のあいだ』も好調な売れ具合で、ありがとうございました。私自身は理研BSI編集のブルーバックスを購入しました♬
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by osumi1128 | 2016-12-11 15:18 | 科学技術政策

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